マンガ文化の世界輸出で日本とサウジがタッグ、マンガインターナショナル設立

サウジアラビア・リヤドに本社を構えるマンガ・アラビアは5月21日、日本法人「マンガインターナショナル合同会社」の設立記念レセプションを開いた。マンガ・アラビアは、サウジ・リサーチ&メディアグループ(SRMG)の子会社で、40以上の日本の漫画をアラブ語に翻訳し中東・北アフリカ地域で出版している出版社。設立は2021年で、日本ではKADOKAWA、講談社、集英社、小学館、白泉社の各社とパートナーシップを結んでいる。今回、日本法人を設立することで、中東だけでなく、世界に日本のマンガを広げる活動を加速させる。

マンガインターナショナルの設立趣旨について語るブカーリ・イサム 代表

マンガ・アラビアは「マンガ・アラビア キッズ」と「マンガ・アラビア ユース」の2つの月刊誌を出版。アプリ版でも提供しており、ダウンロード数は合計800万以上。アラブ世界のすべての雑誌アプリの中で1位を記録している。サウジアラビア・教育省との協力で、中東・北アフリカ地域の小学校、約1万6000校に子供向け雑誌を配布するなどの活動も行っている。また、サウジアラビアの小説を漫画化しようというプロジェクトも動いている。一方、サウジアラビア政府と日本の特許庁との協力で、海賊版撲滅のための取り組みも行っている。同時に現地のクリエーターの育成・支援も行っている。アラブ地域の文化や価値観を反映したオリジナルコンテンツに加え、日本を始めとする海外作品のアラビア語版のコンテンツの配信も行っていく。

日本法人設立にあたって、マンガ・アラビアとマンガインターナショナルのブカーリ・イサム 代表は「かつてサウジアラビアでは、日本のマンガは海賊版でしか楽しめなかった。しかし現在では、マンガアラビアを通じて、正規のルートで日本のマンガを楽しむことができるようになった。我々の調査では、いまだ多くの国々で9割以上の読者が、海賊版でしか日本の漫画を楽しめない環境であることが分かっている。これからは、マンガインターナショナルを通じて、世界各国の読者が、正規のルートでマンガを楽しめるようにしたいと考えている」と話した。ブカーリ・イサム代表は、サウジアラビアでアニメやゲームを手掛ける、マンガプロダクションズのCEOも務め、ここでも日本とサウジ間でコンテンツの懸け橋として尽力してきた。マンガインターナショナルの設立で、さらに新たなフェーズでの活躍を期待したい。(BCN・道越一郎)

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