【開山祭6月2日】祝・70回開催で登りたい「八ヶ岳」 日帰り「蓼科山」最短コース&山頂絶景レポ

蓼科山山頂から望む南八ヶ岳と南アルプスの大展望(撮影:山歩ヨウスケ)

長野県と山梨県に跨る八ヶ岳では、毎年6月の第1週目の日曜日に開山祭(かいざんさい)の式典が開催される。開山祭とは登山シーズンの始まりを知らせる「山開き」に、登山者の安全を祈願する神事である。今年で70回目を迎える八ヶ岳の開山祭は、2024年6月2日に開催予定だ。

今回は本格的な登山シーズンがスタートする八ヶ岳連峰・蓼科山(たてしなやま)を紹介する。

■八ヶ岳連峰の北端「諏訪富士」の別名を持つ日本百名山・蓼科山

蓼科山は、八ヶ岳連峰の北端に位置する標高2,531mの山だ。裾野を広げた円錐形の山容から「諏訪富士(すわふじ)」とも呼ばれている。

蓼科山は日本百名山の一座に名を連ねているほか、信州百名山や甲信越百名山にも選出されている。また、蓼科山山頂には蓼科神社の奥社が鎮座しており、山全体が御神体となっていることから霊峰としても知られ、日本百霊峰の一座でもある。

そんな蓼科山は日帰りでの登頂が可能な山で、今回は最短で登れる7合目登山口からのピストンルートを紹介したい。

■7合目登山口からのピストンルート

7合目からの登山ルートは距離が約4.6km、コースタイムは3時間30分ほどで、標高は約1,900m地点からのスタートとなる。

蓼科山の標高は2,531mで、登山口からの標高差は631mだが、山頂までは急登が続き、登りがいのあるコースだ。

登山口からしばらくは緩やかだが、20分ほど歩いた先の「馬返し」から勾配が急になり、石が多くなってくる。

馬返しから将軍平(しょうぐんだいら)までは1時間5分ほど。将軍平に近づくにつれてガレ場となり歩きにくくなり、浮石も多いので注意しながら一歩一歩進みたい。これからの時期は気温も高くなってくる。意識的に水分補給を心がけてほしい。

7合目登山口から1時間半で将軍平に到着する。将軍平は大河原峠や蓼科山登山口からの合流地点になっており、山小屋「蓼科山荘」がある。

将軍平から山頂までは休憩を取れる場所がない。勾配はさらに急になるので、蓼科山荘でしっかりと休憩を取り、呼吸を整えてから山頂を目指そう。

■将軍平から山頂までは岩場が続く急登

将軍平を過ぎると登山道はゴロゴロとした岩場が続く急登になり、歩きにくく手強い区間になる。できるだけ細かい歩幅で、平らな場所を見つけて歩きたい。

将軍平から35分ほどで山頂まで到着するが、気をつけながら歩く必要があるので体感では所要時間よりも長く感じる区間だった。やがて樹々がなくなってくると山頂は近い。

山頂直下までくると山小屋が見えてくる。蓼科山頂ヒュッテだ。ここまで来れば山頂はすぐそこ、一気に登り切ってしまおう。

■蓼科山の見どころ・広大な山頂と大パノラマ

山頂に到着すると驚くのがその広さだ。はっきりとした広さはわからないが、サッカーコートがすっぽりと入ってしまうのではないかと思うほど広い。

山頂には人間よりも大きな岩もゴロゴロあるので歩きにくいが、中央部に蓼科神社の奥社である石祠が祀られているので、ぜひ立ち寄りたい。

晴れていれば問題はないが、濃霧の時などは広すぎて自分の位置がわからなくなる可能性があるため、気をつけたいところだ。

山頂エリアからは360度の展望が広がっている。北アルプス、中央アルプス、南アルプス、南八ヶ岳、御岳山など、日本を代表する山々を望むことができるので、好きな景色を見つけて堪能してほしい。ちなみに筆者は南八ヶ岳と南アルプスが一望できる場所を選んだ。

山頂エリアは風が強く、標高は2,500mを超えているため、麓に比べると気温が低い。防風のシェルジャケットや防寒ウエアを忘れないようにしたい。

■シーズンインした八ヶ岳にでかけよう

開山祭を迎え、いよいよ本格的なシーズンインとなる。標高の高いエリアや日の当たらない斜面では6月に入っても雪が残っている場所があるため、滑り止めを携帯のうえ、八ヶ岳登山に出かけてみてはどうだろうか。

〈登山ルート〉
7合目登山口⇒(20分)⇒馬返し⇒(1時間05分)⇒将軍平⇒(35分)⇒蓼科山山頂⇒(30分)⇒将軍平⇒(50分)⇒馬返し⇒(15分)⇒7合目登山口

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