【ソフトバンク】佐藤直樹が「支配下昇格→即一軍登録」 柳田悠岐の長期離脱で緊急決定

支配下登録が「前倒し」となるソフトバンク・佐藤直樹

パ・リーグ首位のソフトバンクは5月31日の広島との交流戦(みずほペイペイ)に2―1で競り勝ち、連敗を止めた。素直に喜べないゲームとなってしまった。チームの絶対的主砲・柳田悠岐外野手(35)が、3回の第2打席に二ゴロを放ち一塁へ向かう際に右ハムストリングを負傷。長期離脱が確実となった。

試合後、小久保監督は「今日は途中からほとんど試合を見ていなかった。柳田のことをどうしようかというところで、采配どころじゃなかった」と、代えの利かない主力の離脱だけに、動揺を隠せなかった。

ただ、その後に指揮官が「別に今日で終わるわけじゃない」と語ったようにシーズンは長い。柳田不在の期間をどう乗り切るか。鷹の将は「代わりはなかなか難しい。でも、そういう時にこそチームの底力の見せどころ」と力を込めた。

転ばぬ先の杖――。考えたくもないが、最悪のケースに備えて頭の中でパズルを組んできた。柳田の離脱は〝最悪中の最悪〟といえるケース。だからこそ、取り得る次善の策をかねて温めていた。ポジションの兼ね合い、選手のポテンシャルや状態を加味して、遅かれ早かれ白羽の矢を立てたであろう男を緊急昇格させることを決断。2019年の「ドラ1」で昨オフに戦力外となり育成選手で再契約した佐藤直樹外野手(25)だ。

今季ウエスタン・リーグでは、ここまで34試合で打率3割4分をマーク。7月末が登録期限の支配下選手の昇格候補としてリストの最上位に挙がっていた俊足強肩の外野手を前倒しで昇格させ、1日の広島戦から即日一軍登録する方針を固めた。シーズン序盤から安定感のある戦いを支える「守り勝つ野球」を実践してきた小久保ホークスらしい人選と言える。

柳田の早期復帰を願うばかりだが、夏に向けて覚悟も必要だ。今季ここまで柳田は全48試合にスタメン出場。リーグ2位の打率2割9分3厘、同2位の35打点、4本塁打(5月31日時点)と「不動の3番」として躍動してきた。打線の中に柳田がいるといないでは相手の攻め方は大きく変わる。

不在により、分散していたマークが一定の選手に集中しやすくなるのは必然。4番・山川、5番・近藤への影響はゼロではない。クリーンアップに3人並ぶことで、その前後の打者を含めてさまざまな相乗効果があっただけに、戦力ダウンは計り知れない。まさに選手層の厚さ、将のタクト、マネジメントを含めた「底力」の見せどころとなる。

5月30日の巨人戦では、三森大貴内野手(25)が負傷。この日「右示指末節骨関節内脱臼骨折」で全治2~3か月程度と発表された。牧原大に続く二塁手の長期離脱。手薄な二塁手問題も暗い影を落としている。

見事な開幕ダッシュを決めて首位を快走してきたホークスに突如、強い逆風が吹き始めた。報道対応の最後に「今日負けていたら『ダブルショック』みたいな記事になるので(連敗を阻止できて)良かった」と努めて明るく締めた小久保監督。心中は穏やかではなかったはずだが、チームの先頭に立つ将らしく力強くファイティングポーズをつくった。

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