SGホールディングス<9143>、C&Fロジホールディングス<9099>を対抗TOBで子会社化へ

佐川急便のサービスセンター(都内)

佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは31日、同業の中堅物流企業であるC&FロジホールディングスにTOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。買付代金は最大1237億円で、完全子会社化を目指す。C&Fロジをめぐっては丸和運輸機関を中核とするAZ-COM丸和ホールディングスによるTOBが5月2日から進行中。SGはAZ-COM丸和より9割以上高い5740円の買付価格を提示した。C&Fロジは同日、SGの対抗TOBに賛同する一方、これまで意見を留保していたAZ-COM丸和のTOBに対して反対を正式に表明した。

SGが提示した買付価格の5740円はTOB公表前日(30日)の終値4900円に17%のプレミアムを加えた。C&Fロジの31日の終値は4865円。これに対してAZ-COM丸和による買付価格は3000円で、SGにはるかに及ばないうえ、市場価格を4割程度下回り、TOB成立が困難な状況にある。

SGによる買付予定数は2155万7194株。下限(成立条件)は所有割合66.67%にあたる1437万2200株に設定した。買付期間は6月3日~7月12日の30営業日。決済の開始日は7月22日。公開買付代理人は大和証券。

C&Fロジは2015年に、いずれも低温食品物流事業を主力とする名糖運輸とヒューテックノオリンが経営統合して発足し、東証1部に上場した(2022年4月に東証プライム市場に移行)。

SGは佐川急便が手がける宅配便事業を中心に、国際物流、荷主に代わって物流業務を代行する3PL(サードパーティーロジスティクス)などを展開する。

物流業界ではドライバーの時間外労働の上限規制に伴う「2024年問題」を背景に、輸送力不足が懸念されている。SGは買収によって輸送力の確保や物流の効率化を進めるとともに、国内屈指のコールドチェーン(低温物流)構築などにつながると判断した。

一方、AZ-COM丸和のC&Fロジに対するTOBは6月17日まで。今後、SGに対抗して買付価格の引き上げに動くのか出方が注目される。

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