ヨシタケ、アジア事業強化 タイ・バルブ工場に新ライン インドは駐在事務所開設へ

ヨシタケ本社(名古屋市昭和区)

 管工機材メーカーのヨシタケ(本社名古屋市)は、バルブなどを製造するタイの主力工場で、ステンレスの鋳造新ラインを稼働する。従来は鉄や銅合金が中心だったが、さびにくく、耐久性に優れるステンレスの素材の採用を増やし、取引先を広げる狙い。また、成長が著しいインド市場の開拓を視野に、今夏にも現地に駐在員事務所を開設する計画を進めている。アジア事業を強化し、持続的な成長を図る。

 タイ工場に、ステンレスの鋳造を行うための設備を導入し、新ラインを立ち上げる。「ロストワックス」と呼ばれる手法で、ワックス(ろう)でつくった原型を鋳砂で固めた後、ワックスを溶かして空洞にすることで鋳型を形づくる。鋳型に素材を流し込み、製造する。
 新ラインは準備をすでに終えており、順次、本格稼働する。ステンレスはさびにくく、耐久性に優れる特徴を持つため、食品や飲料関連の工場、病院をはじめ、幅広い産業分野向けに販売を狙う。投資額は非公表。
 バルブは、配管を通る蒸気や水などの流体を制御する役割を担う。部材の9割以上が鋳物で、現在は小牧市の小牧工場とタイにあるタイ工場の2拠点で、鋳造工程から製品まで一貫して手掛けている。
 バルブの素材はかつては鉄が中心で、銅合金などの素材を使った製造は外注することが多かった。しかし、東日本大震災やタイの大洪水による工場浸水などでサプライチェーン(供給網)が機能しなくなった経験を受けて、リスク対策のために近年、まずは銅合金の部品や製品の内製化から取り組んできた。今後はステンレスのバルブも、自社で製造する量を増やし、品質の安定や、納期の短縮などにつなげる。
 また今夏にも、人口増や経済成長が著しいインドに、駐在員事務所を開設する計画。申請中で、認可待ちの状況という。情報を収集し、インド市場の開拓に乗り出す構えだ。
 同社はアジアでの事業展開を強化している。2023年3月期に5社だった連結子会社は、24年3月期に8社に増えた。シンガポールの販売・メンテナンス会社とそのベトナム子会社、販売代理店と共同出資した中国合弁会社の3社を、この1年間でグループに加えた。島勝彦取締役はアジア市場について「ポテンシャルが高い。米国、中国に次ぐ第3の市場にしていきたい」と話している。
 24年3月期の連結売上高は89億5200万円、単体売上高は65億1900万円。国内での販売を維持しながら、単体での海外売上比率を、中長期で現状の約20%から50%程度へと拡大する目標を掲げている。

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