アメリカ人「『さて、どうしよう』ってなるんだ」 快適な日本の電車 難しさを感じるポイントとは

アメリカのユタ州から5年ぶりに来日したマーシャルさん【写真:Hint-Pot編集部】

多くの外国人観光客が称賛する日本の公共交通機関。利便性や快適さ、正確な運行、日本人利用者のマナーの良さなど、高く評価されるポイントがたくさんあります。一方で、慣れていないと混乱することも。今回が2度目の訪日というアメリカ人も、複雑さに戸惑うようです。いったい、どんなことに困っているのでしょうか?

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「アメリカでは見られないことだったから驚きました」

東京駅で出会った、アメリカのユタ州からやってきたマーシャルさん。5年ぶり2度目の訪日で、友人と2週間かけて大阪、奈良、京都、金沢などをめぐる予定です。

マーシャルさんは、初めて日本へ訪れたときのことをよく覚えているそう。そのなかでも深く記憶に刻まれているのは、日本の伝統文化のひとつ、歌舞伎を鑑賞したときのことだと話します。

「舞台の最中に客席から声が上がり、役者とお客さんとの間にやり取りがあるのはびっくりしました。これは伝統なんですね。アメリカでは見られないことだったので、すごく驚きました」

役者が登場したときや、見得を切るなどの見せ場にさしかかると、役者の屋号や代数、「当代一!」などの褒め言葉など、歌舞伎の舞台では役者に声をかける独特な風習があります。舞台から離れた向かい側、通い詰めた観客が声をかけることから「大向こう」と呼ばれ、歌舞伎の名物のひとつです。

芝居の呼吸を読み、絶妙なタイミングで上がる声は舞台を盛り上げ、一体感を生み出します。観客が舞台に参加するようなやり取りは、世界的に見ても珍しいでしょう。大向こうは、マーシャルさんに大きなインパクトを与えたようです。

「今回も移動はすべて新幹線や電車」

それでは、今回の旅で印象に残ったことはなんだったのでしょうか。マーシャルさんは「今回も移動はすべて新幹線や電車でしたが、それも便利なままでした」と、5年前に訪れたときと変わらず快適だと話します。

しかし、電車の利用で混乱することもあるのだとか。車社会のユタ州で暮らすマーシャルさんは、普段は電車に乗ること自体が少ないそう。それだけに前回も、今回も「日本の電車に慣れるのに2日くらいかかりました」と明かします。

「駅で『そうだった、ホームはひとつじゃないんだ……。さて、どうしよう』となりました(笑)」

久々の電車で、ホームが複数あることを思い出したマーシャルさん。ターミナル駅になると、複数の路線が乗り入れ、同じホームに別の路線の電車が停車することもあります。使い慣れておらず、言語の違うマーシャルさんにとってはとても難しいでしょう。

マーシャルさんが、これから向かうと話す関西地方も、構内が複雑な駅は少なくありません。京都駅には乗り場は19しかありませんが、途中が欠番しており、国内で一番大きな番号が付いている「34番」ホームがあります。また、大阪には、JRや私鉄によって同じ駅でも呼び名が違うなど、ややこしいエリアも。あらかじめ、しっかり調べるだけでなく、時間に余裕をもって駅に行くことが大事かもしれませんね。

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