今やプラチナチケット…「サンライズ出雲」に乗って実感!“人気すぎる夜行列車”の最高の楽しみ方

東京都と出雲市駅間を1晩かけて走る「サンライズ出雲」/(C)日刊ゲンダイ

【話題の現場 突撃ルポ】#9

あまりの人気ぶりにチケット転売騒動まで……。国内で唯一、定期運行している夜行列車「サンライズ出雲」(東京⇔出雲市)は、その希少性から、週末にもなると予約が殺到。ゴールデンウイーク期間中の乗車券がフリマサイトで高額転売されたほどだ。

人気の理由を探るべく、日刊ゲンダイ記者は乗車券予約を試みた。やっとの思いでゲットできたのは、4月中旬のとある平日分の切符だ。

出発時刻の午後9時50分、満を持して東京駅で乗車すると、退勤するサラリーマンが車窓から見えた。下り電車は翌朝10時に島根県の出雲市駅に到着する旅程である。

出雲大社パワーでキレイなオネーチャンと…

車内にはトイレはもちろん、洗面台やシャワーも完備。3号車と10号車にはラウンジがあり、カップルや家族連れなどさまざまな人でにぎわっている。電車が静岡県に入った午後11時ごろ、お酒で顔を真っ赤にしていた40代男性に話を聞いた。

「僕はいわゆる“乗り鉄”です。夜行列車が好きで、朝になれば本州の反対側に着いてるなんてロマンじゃないですか。そんな旅のお供はこの晩酌セットです。発泡スチロール製の使い捨てクーラーボックスに氷をたくさん入れて、持ってきた2本の焼酎小カップでお茶割りをつくるんです。車窓から夜景を眺めながら、駅弁をつついて一杯やるのは最高のぜいたく。もはや“飲み鉄”ですね(笑)」

旅行会社のツアーで乗車していた60代の男性は、こんな思い出があるという。

「もう20回もサンライズ出雲に乗ってるんだけど、5年前に縁結びで有名な出雲大社にお参りに行ったのよ。旅行から帰って数日後、上野で飲んでたらオネーチャンが酔っぱらいに絡まれててさ。スゴく怖かったんだけど、止めにいったんだよね。だって、オネーチャンが可愛かったから! そしたらオネーチャンが『お礼がしたい』と。連絡を取り合ううちに、付き合うことになったんだよね。まさかこの年でさ、15歳年下の国際線のキャビンアテンダントと恋をするとは。今も仲良く付き合っててさ、やっぱり出雲大社はすごいよ!」

縁結びパワー、恐るべしである。

床はやや硬いけど…

日付変わって午前1時。浜松駅に差し掛かる頃には、ラウンジにも人がいなくなり、記者も就寝することに。予約した「ノビノビ座席」は個室ではないものの仕切りがあり、カプセルホテルのような雰囲気。床はやや硬いが背中から感じられる列車の振動が心地よく数分で眠ってしまった。

翌朝、島根に入り、9時30分ごろに松江駅を出発すると、いよいよ宍道湖が見える。青々とした水をたたえる雄大な姿は圧巻そのもの。ラウンジで絶景を眺めながら、車内の自販機で買った缶コーヒーで一服。なんと爽やかな朝であろうか。

午前10時に出雲市駅に着き、約12時間の旅は終わりを迎える。乗ってみれば楽しくてあっという間だった。これでキレイなオネーチャンと一緒に乗車できれば文句なしだが……。とりあえず、出雲大社にでも行ってみようかな。

(橋本悠太/日刊ゲンダイ)

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