ふるさとの歴史も紙からタブレットへ 京都・南丹の小学生向け郷土学習の副読本がデジタル版に

南丹市や京都府について学ぶ副読本をタブレット端末で読む4年生たち(同市八木町・八木西小)

 京都府南丹市の全7小学校で本年度から、3、4年生が社会科の郷土学習で使う副読本がデジタル版に替わった。タブレット端末上で文字や写真を見やすく拡大したり、リンク先に進めば関係するウェブサイトで詳しく学んだりできるため、児童ごとの関心に応じた学習に役立っている。

 副読本は「わたしたちの南丹市」。従来の紙版は約150ページで、同市や京都府の地形、産業について市内の教諭らが執筆している。

 国は電子版の機能が主体的な学びに有効として、デジタル教科書の普及を進める。同市でも徐々に使用が始まる中、市教育委員会は社会科副読本を独自に電子化した。府内では先進的な試みという。内容は紙版とほぼ同じだが、各ページや画像は自由に拡大できる。

 府内の交通を学んだ八木西小(八木町)4年生は、デジタル副読本の地図を拡大し「舞鶴と北海道を結ぶ船がある」など細部まで読み取った。教師の端末画面は黒板前のモニターに映るため、担任が説明に活用していた。

 園部小(園部町)の4年生は「なぜ京都市に人が集まる」という調べ学習で、副読本からヒントを探した。祇園祭の写真を、画面上のワークシートに転載するなど工夫してまとめた。女子児童(9)は「デジタルは内容をアップで見られる。気になった部分もすぐインターネットで調べられる」と気に入っていた。

 関心があれば発展的に学べるように、丹後ちりめんが載るページでは、製法の動画などが載る業界団体の公式サイトにリンクを張るなど、参考資料に触れやすくした。市教委は「個別最適な学びに有効な教材になる」と意義を説明する。

 従来は数年分まとめて印刷してきたが、デジタルは随時更新できることも強みで「できるだけ新しい情報を提供したい」としている。

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