【老後の必要資金】 賃貸1人暮らしの場合、老後資金はどのくらい用意しておいたら足りますか?

単身世帯の消費支出

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要 」によると、単身世帯の消費支出は月平均額16万7620円です。費目は図表1のとおりで、最も高い割合を占めているのは食料にかかる費用となっています。

【図表1】

総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要 」より筆者作成

間取り別の平均家賃

全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」によると、総平均賃料は5万4229円とのことです。また、間取り別の平均賃料は、1部屋で5万100円、2部屋で5万8897円、3部屋で6万8333円となっています。

前出の調査では住居にかかる費用が2万3815円でしたが、賃貸1人暮らしになると5万円を超えることを想定しなければなりません。また、平均賃料は居住する都道府県によって違いがあり、例えば同じ1部屋でも最も安い山口県は4万488円ですが、最も高い東京都は7万490円です。

老後にもらえる年金額はどのくらい?

厚生労働省年金局の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金のうち、国民年金と厚生年金の受給額は1ヶ月につきどのくらいになるのかは以下のとおりです。

__
・国民年金:6万8000円(令和6年度の満額受給の場合)
・厚生年金(65歳以上の平均月額):16万7388円(男性)10万9165円(女性)
__

公的年金制度は2階建て構造になっており、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。国民年金は、日本に住む20歳以上60歳までの人に加入義務があり、保険料が一律なので納付月数によって受給額が決まります。

厚生年金は会社員や公務員などを対象とする年金です。保険料は賃金によって異なり、納付金額が多くて被保険者期間が長いほど、受給額が高くなります。

原則として65歳以降、公的年金を生涯にわたって受け取れますが、もらえるのが国民年金だけなのか、国民年金に加えて厚生年金ももらえるのかによって年金収入が大きく変わります。

そのため、年金だけで衣食住が賄えれば十分、贅沢はしないと考えていても、もらえる年金が国民年金だけといった場合は生活が成り立たないケースも十分に有り得るでしょう。

前出の調査で単身世帯の消費支出は月平均額16万7620円と伝えました。老後の生活費を年金収入だけで賄うのであれば、受け取れるのが国民年金の場合は月額約10万円の不足、厚生年金も受け取る場合は男性も女性も公的年金だけで生活費を賄える計算です。

年金だけでは生活費が足りない場合の対処法

年金だけでは老後の必要資金を確保できない場合、以下の対処法を検討してみてください。

__
・働いて収入を得る
・家計の見直し
__

対処法別に解説します。

働いて収入を得る

老後の生活費を賄うための手っ取り早い方法は、働いて収入を得ることです。

再就職や再雇用で厚生年金の被保険者期間が長くなれば、その分だけ年金受給額も増やせます。体調に無理のない範囲内で適切な働き方を見つけてみてください。

家計の見直し

家計の見直しを行い、無駄な支出がないか確認してみてください。高額な買い物をしている、外食をする機会が多い場合は、それらを控えるだけで支出を大幅におさえられるでしょう。また、住居費や通信費、保険料といった毎月発生する固定費の見直しができれば、長期的な節約が期待できます。

必要な生活費と受け取れる年金額を確認して老後生活の準備をしよう

公的年金のうち、国民年金と厚生年金のそれぞれを受け取れるのであれば、賃料の金額によるものの賃貸で1人暮らしでも衣食住は賄えるでしょう。しかし、国民年金しか受け取れない、賃料の高い物件に住んでいるような場合、年金だけで生活費を賄うのは難しいです。

年金は老後の貴重な収入源ですが、老後の生活費を年金だけに頼るのではなく、早いうちから貯金をする、健康なうちは働くといったことを検討しておくと安心です。

出典

総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社