「うちには財産なんてないから…」は大きな勘違い!? お金持ちではない“一般人”こそ〈お金の終活〉が大切な理由【行政書士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

終活において避けられないのが「財産整理」です。うちには財産なんてないから……と思っていても、実はほとんどの人が“財産持ち”だと、行政書士で相続・終活コンサルタントの明石久美氏はいいます。特別なお金持ちではない“一般人”こそ知っておきたい「お金の終活」について、明石氏の著書『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 人に迷惑をかけない終活』(オレンジページ)からみていきましょう。

大した財産がなくてもお金の終活は必要?

みんなの声

●うちには財産なんて特別なものはなく普通預金しかないはず……

特別なお金持ちでなくとも今のうちに整理を

預金も終活を! ほとんどの人は財産持ち

「うちには財産なんてないから……」と思っていても意外なものが財産に該当します。家族がいても、おひとりさまでも財産は最終的に誰かが整理するものです。スムーズに、納得のいくようにお金の終活をするには、今のうちから準備が必要です。

財産に該当する主なもの

●口座にあるお金

●加入している保険(生命保険、共済保険、損害保険)

●有価証券(株式、投資信託、債券)

●債務(ローン、借金)

●家、土地、車

●貴金属、美術品、骨とう品

●家具・家財、ゴルフ会員権、電話加入権など

例えば、日常的に使用している普通預金も財産に該当します。住宅やクレジットカードのローンはマイナスの財産として扱われ、何も手続きをしなければ相続する人に引き継がれます。

適切なかたちで渡せるよう整理しはじめましょう。まずはどのような財産を保有しているのか書き出してみてください。

使う銀行口座を厳選して、その他の口座は解約を

みんなの声

●認知症になると口座が凍結されるのは本当?

●使わない口座がたくさんあり、管理できてない……

口座を複数持っている場合、同じ銀行なら相続手続きをまとめて行うことができます。問題なのは、複数の銀行に口座がある場合で、解約手続きに手間がかかります。使用していない銀行があるなら口座は解約をしておきましょう。

遠方に口座があり解約しに行けないときは、近場の銀行(他行でもOK)の窓口へ「代金取立」という方法で依頼することで、解約・残金の送金をしてもらえます。

また、銀行側は口座の持ち主が認知症であると認識した場合には、財産を守るため口座の凍結を行いますので注意してください。

〈ここがポイント〉

使っていない口座は解約の手続きをする

もしものときのために、口座は2、3個ほど残しておく

口座の管理者「自分だけ」では不十分

みんなの声

●口座をひとりで管理していくのが不安

●寝たきりになったら誰が必要な支払いをしてくれる?

今後も使用する口座は「代理人カード」を作成しておくとよいでしょう。代理人カードとは、口座を持つ本人の家族が、本人の代わりに口座を利用できるキャッシュカードです。

病気や寝たきりになってしまったときなどに家族が代理人カードを使って振込や入金・引き出しができます。

家族の利便性を高めることが目的のため、口座を持つ本人が認知症になってしまうと原則的には使えません。クレジットや電子マネー機能はありませんが、日常的な金融取引には十分対応できる一枚です。

代理人カードは口座のある銀行支店の窓口に出向いて作成できます。銀行にもよりますが、ほとんどの場合は家族の同行は不要です。作成したら家族に渡しておくだけで利用できます。ただし、代理人カードは、金融機関によって利用できる人の条件があるため、必ず作成できるとは限りません。事前に口座のある支店に確認することをおすすめします。

定期預金はタイミングをみて解約し、普通預金にお金を移しておきましょう。

明石 久美
相続・終活コンサルタント/行政書士

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン