第58回スーパーボウル覇者チーフスを祝うバイデン大統領、「ホワイトハウスにおかえりなさい!」

ホワイトハウスでバイデン大統領の歓迎を受けたカンザスシティ・チーフス一行【AP Photo/Evan Vucci】

カンザスシティ・チーフスがホワイトハウスで初めて表彰されるまで、予想された以上に時間を要した。

ただ、それも今は昔のことになりつつある。

現地5月31日(金)、第58回スーパーボウルで延長戦の末にサンフランシスコ・49ersを破り、2年連続でスーパーボウルチャンピオンに輝いたチーフスをジョー・バイデン大統領がホワイトハウスに歓迎し、祝福した。

「おかえりなさい! 再びホワイトハウスにようこそ!」と挨拶したバイデン大統領。

昨年のセレモニーでは唐突に演壇に上がったチーフスのタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーを、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズがシークレットサービスの真似をして冷静沈着にケルシーを引き下げたシーンが印象的だった。今回はチーフスのオーナー兼CEOであるクラーク・ハントらを前にスピーチしたバイデン大統領が話の途中でケルシーを壇上に呼び上げ、次のようにジョークを飛ばしている。

「トラビスにはここに来てもらいたいところだけれど、彼が何を言うかは神のみぞ知る、だね。トラビス、ここに来てくれ。君の番だ、友よ」

即座に対応したケルシーはチームメイトやバイデン大統領の笑いに包まれながら、簡潔な演説を披露。

「親愛なるアメリカ国民のみなさん、またお会いできてうれしい。正直に言うと、大統領、ここに来たらテーザーガンで撃たれるって言われているから、元の場所に戻るよ」

その後、バイデン大統領からバトンを受ける形で壇上に立ったハントは次のようにコメントしている。

「選手たちとコーチ陣をとても誇りに思う。昨シーズン、彼らは連覇阻止を狙われながらも逆境を乗り越え、おそらくリーグ史上最も難しいプレーオフの対戦相手たちを破った。彼らは今世紀で2番目の連覇を達成したチームとして、NFLの歴史に名を刻んだ」

スーパーボウル連覇かつ過去5シーズンで3回目の優勝を果たしたチーフスは真の王朝を築いたと言える。ハントが言及したように、今回のタイトル獲得の旅はこれまでで最も困難なものだったかもしれない。

2023年シーズン以前のチーフスはホームゲームしか経験していなかった。しかし、過去5シーズンで4回目のスーパーボウル出場を果たすために、昨季はここ5年間で初めてのアウェーゲームに挑んだ。プレーオフでは氷点下のGEHAフィールド・アット・アローヘッド・スタジアムでマイアミ・ドルフィンズを下した後、第2シードのバッファロー・ビルズに勝利し、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームで第1シードのボルティモア・レイブンズを破ってスーパーボウルの切符を手に入れている。

スピーチを終えたハントから壇上に呼び上げられたヘッドコーチ(HC)アンディ・リードは、バイデン大統領にチーフスのヘルメットを贈呈。選手たちやコーチ陣の歓声に包まれながら、バイデン大統領はそのヘルメットを被り、拍手喝采を受けた。

バイデン大統領は昨年も第57回スーパーボウルでフィラデルフィア・イーグルスに勝利したチーフスを歓迎し、チーフスにとって3回目のロンバルディトロフィー獲得を祝っている。ただ、チーフスがホワイトハウスを訪れたのは、その時が初めてだった。

スーパーボウル優勝チームがホワイトハウスを訪問する伝統は、1980年のピッツバーグ・スティーラーズから始まっている。そのため、チーフスが1969年シーズンに開催された第4回スーパーボウルで優勝した際にはホワイトハウス訪問の機会はなかった。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で、第54回スーパーボウルで優勝したチーフスのメンバーもその機会がなかったのだ。

しかし今、チーフスは2年連続で春にペンシルベニア通り1600番地を訪れている。

今年2月11日に開催されたスーパーボウルで勝利したことにより、チーフスはロンバルディトロフィーを4つ獲得した7番目のフランチャイズとなり、2003年と2004年のニューイングランド・ペイトリオッツ以来の連覇を達成したチームとなった。

今年の秋に再選を目指しているバイデン大統領は「“連覇”って響きはいいね」と冗談を口にしている。

9月に2024年NFLシーズンが始まれば、チーフスは史上初のスーパーボウル3連覇を目指すことになる。春にホワイトハウスを訪れるチーフスの新たな伝統を続けたいと言うハントはこう付け加えた。

「今日、ここでの時間を大いに楽しんだ。われわれはこれを毎年の恒例行事にするために、今後も取り組んでいく」

【KO】

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