日本勢の躍動も“当たり前”? 注目はメジャールーキー・竹田麗央「ショット力がある」【藤井かすみの目】

藤井かすみが期待を寄せる竹田麗央(撮影:ALBA)

<全米女子オープン 2日目◇31日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70>

海外メジャー第2戦「全米女子オープン」は2日目の競技が終了した。“世界一決定戦”に日本勢は21人出場するなか、笹生優花が3打差の3位で決勝ラウンドへ。渋野日向子、小祝さくら、岩井千怜は5位につけている。14人が週末行きを決めたこの戦いについて、大会を中継するBS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)で解説を務めた藤井かすみに聞いた。

■日本勢の上位争いに「当然なのかな、と」

21人中14人が決勝へ。トップ10には4人、トップ20まで広げればさらに6人が増える。この中で米ツアーメンバー組は笹生、渋野、畑岡奈紗、古江彩佳。日本ツアーを主戦場にして“スポット参戦”する日本ツアー組の活躍も目を引く。

藤井は「最近は通常のトーナメントがパター戦に近くなってきていると思います」と分析するが、ここはメジャー大会。グリーン上だけではなく、ティショット、ピンを狙うショット、グリーン周りのアプローチなども大事になってくる。そんな総合力が試される舞台で、日本ツアーを戦う選手たちの技が光っている。

「もともと実力はあると思っているけれど、最近の日本のトーナメントは左右にピンが振られていて、難しいセッティングで行われています。そのなかで戦ってきているから、こうやって結果に出ている。当然なのかな、とも思ったりしてしまいます」

特に、メジャー大会でポイントとなる「メリハリ」についても通ずるところがあるという。「日本でも『ここは狙ってはいけない』というメリハリがはっきりしている。ピンが『こんなところに切ってあるの!?』と、時には苦しい選択をしないといけないほどのセッティングも最近はよく見ますからね」。技術、マネジメントに加えて、「メンタル」やトレーニングによって「世界のレベルに合うための体力」もつけてきている。心技体+脳がそろっている。

■優勝争いのカギを握るのは?

このアップダウンがあるランカスターCCは「タイトなところに打っていかないといけないホール」もいくつか挙げられる。さらに、スコアロスを最小限に抑えるために、外すならココというような考え方も必要になってくる。

例えば、この日3番目に難易度の高かった6番パー3。ティングエリアの右からグリーン左にかけて小川が流れ、グリーンは左に緩やかに傾斜している。そして12番パー3も要警戒ホール。ネリー・コルダ(米国)が池ポチャ3回で『10打』を叩き、予選落ちを喫する原因にもなった。

グリーン手前の境目には小川が流れ、奥から手前に傾斜しているから、ショートすればそのまま小川に吸い込まれてしまう。グリーン奥には5つのバンカーが構えるが、ピンポジションや状況によって「入れていいバンカー」は変わってくる。それを見極め、実行するマネジメントが必要だ。

18ホール中パー5は2つのみ。パー70というセッティングも「スコアが出にくい」要因のひとつ。週末での上位争いについては、「メリハリが大事。何の気なしに打つとダボになってしまいますからね。優しく打たせてくれるパー3がなくて、パー5も簡単に『4』を取らせてもらえるようなセッティングではない。心休まる時間はないので、ガマン大会です」と見据えた。

■本命の笹生優花、そして期待のメジャールーキー

世界一決定戦ともいわれるビッグトーナメントで「このなかから優勝者が出てもおかしくない」と藤井は日本勢の活躍に期待する。「第一候補ですよね。きょうもいいパッティングが決まっていました。優勝したこともあるという気持ちの余裕もあるはずです」と3打差3位につける笹生について話す。

「上位で終わればこれから気持ちが変わってくると思う」という渋野、「こういうところになるとやはり強い」という実力者の畑岡や古江。さらに「きょうはつぎのリシャッフルに向けて、予選を通ろうと回っていたはず。あしたからの2日間が楽しみですね」と吉田優利にも注目する。そして藤井は、これが海外メジャー初出場の21歳・竹田麗央について太鼓判を押す。

「ショットの力は一番ありますね。それが生かせているところはあるけれど、本人としてはもっといいスコアで回れるんじゃないかとも思っているはずです」。ホールアウト後のインタビューでは「きのうよりコースが簡単に感じた」と話していたところにも、大器の片りんを感じさせる。

「トップの選手がいなくなったこともあるけれど、上位に日本人選手の名前があると、『わたしもできるんじゃないか』とみんながやる気になってくる。初日に笹生選手がトップに立って、そこからみんなが刺激を受けていると思います」。世界ランク1位のネリーをはじめ、トップランカーが相次いで予選落ち。その一方で、日本勢がリーダーボードの上位を占めて週末へ。あすのムービングデーで首位に立つ選手は現れるか?

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