鳥塚社長の退任発表 取締役会 後任に平井氏起用へ えちごトキめき鉄道

「トキ鉄の次のステップは、並行在来線をどうするかという国の課題だ」と述べる鳥塚社長

えちごトキめき鉄道(トキ鉄、上越市)は5月31日、取締役会を開き、鳥塚亮社長(63)が退任し相談役に就く人事を内定した。後任に、同日取締役候補者となった元国土交通省北陸信越運輸局長の平井隆志氏(57)を起用する方針。6月26日に開く株主総会を経て就任する予定。

2019年9月から社長を務めた鳥塚氏は、自身が先頭に立ってトキ鉄を県外の鉄道ファンなどにPR。「観光急行列車」導入や「D51レールパーク」の開業、社長自ら案内する鉄道ツアーで経営に新風を吹き込んだ。

取締役会終了後、記者会見を開き「社長就任時、従業員は安全運行で精いっぱいだった。そこからレベルを上げ、知名度を上げ、外から人を呼び込みながら、検査など技術を磨いてきた。次のステップは並行在来線をどうするか、という国の課題。その解決ができる人が(後任に)ふさわしい」と述べた。

トキ鉄の23年度の決算は、当期純利益が6300万円の赤字(前年度は2億3900万円の赤字)だった。旅客収入は定期外収入の増加を主因に前年度比9%増の7億2900万円だった。新型コロナウイルスの影響が薄れたためビジネス・観光などの需要が復調。少雪で運休が少なかったことも奏功した。

一方で貨物列車などの線路使用料は頭打ち。安全運行の経費は削減が難しい。鳥塚社長は「トキ鉄の経営を単体でなく『トキ鉄があることで、地域をどう利するか』という視点で見て、われわれがその使命を果たす姿を見せることができれば、地域に必要とされるのではないか」とした。

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