フシとタンカで「勧進帳」を熱演 京都・綾部で浪曲師・真山隼人さんが公演

臨場感あふれる「勧進帳」を披露する真山隼人さん(中央)と曲師の沢村さくらさん(右)=綾部市西町1丁目・市I・Tビル

 2023年度の国立演芸場花形演芸大賞で金賞を受けた若手浪曲師の真山隼人さんがこのほど、京都府綾部市西町1丁目の市I・Tビルで浪曲「勧進帳」を披露した。曲師の沢村さくらさんの三味線とともに繰り出される臨場感あふれる語りが、市民らを魅了した。

 「勧進帳」は山伏に変装して関所を越えようとする源義経一行と関守の富樫左衛門との対峙(たいじ)を描いた演目。

 真山隼人さんは弁慶や義経など一人四役を独特の節回しで演じ分けた。弁慶が即興で読んだ「勧進帳」の内容をめぐって関守と激しく問答する場面では、目を大きく見開いてまくし立てるなど、迫力ある演技力を見せた。

 上演後の座談会で、真山隼人さんと沢村さくらさんは「自然と大きな振り付けに体が動いていき、演じる側も楽しい」と浪曲の面白さを観客に伝えていた。

 参加者の一人(75)=綾部市=は「ラジオや地元の祭りで浪曲をよく耳にしたので、懐かしい気持ちでいっぱい。2人の息もぴったり合っていた」と満足そうだった。

 「伝統芸能の魅力を伝える會(かい)あやべ」が企画し、約120人が参加した。

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