更年期に不足させてはいけない「たんぱく質」 効率良く摂取できる食べ方とは

たんぱく質をしっかり摂取(写真はイメージ)【写真:写真AC】

更年期世代の女性のなかには、体重の増加が気になって食事量を減らしている人もいるかもしれません。しかしその結果、たんぱく質の摂取量まで低下する傾向にあることが懸念されています。不足しないよう、たんぱく質を効率良く摂取する方法はあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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たんぱく質不足は太りやすさの原因に 見た目も老ける?

たんぱく質は、三大栄養素のひとつ。筋肉をはじめ、骨や肌、髪、爪など私たちの体を作る材料として、生きていくうえで欠かせない栄養素です。

たんぱく質が不足すると筋肉量が減り、代謝が落ちて太りやすい体になります。同時に、筋力が落ちると姿勢が保てなくなるので体型が崩れやすく、お腹周りの贅肉が目立ってくることもあるでしょう。肌や髪などのハリやツヤが失われて見た目にも影響が出てくるので、老けた印象になってしまいます。

また、良質なたんぱく質は幸せホルモンのセロトニンを作る材料でもあります。不足すると、睡眠の質の低下、気力喪失や情緒不安定など、メンタル面での不調につながるケースも考えられるでしょう。

更年期世代は、加齢により消化酵素の活性も低下します。心身ともにいつまでも若々しく、健やかに過ごすためには、若いときよりも意識してたんぱく質を摂る必要があります。

たんぱく質を逃さず摂るための3つのポイント

成人女性が一日に摂取するたんぱく質の推奨量は50グラムです。ただし、たんぱく質は一度に大量に摂取したから良いというものではありません。効率的な摂取方法については現在も議論や研究が行われているところですが、できるだけ消化や吸収をスムーズにするために、栄養学の観点から3つのポイントを紹介しましょう。

○さまざまな食品から摂取する
たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて吸収されますが、食品によってアミノ酸組成や吸収率が変わってきます。したがって、動物性、植物性に偏らず、さまざまな食品から摂取するのが効果的です。たんぱく質の摂取をプロテイン飲料だけ、サラダチキンだけに頼っている人もいるかもしれませんが、ひとつの食品からたんぱく質を摂ろうとするのはあまり効率の良い食べ方とはいえません。

○よく噛む
噛むことで自律神経が整えられ、消化管の運動が活発になり、吸収率を上げるのに役立つと考えられています。よく噛まずに食べると、消化されないままの食物が大腸に送られて悪玉菌のエサになったり、消化不良を起こしたりすることもあるので気をつけましょう。どんなにたんぱく質を豊富に含む食材を食べても、よく噛んでいなければ、吸収されていないことが起こり得ます。消化酵素が減る更年期世代は、消化促進のためにもしっかりと噛んで食べることが大事です。

○ビタミンB6と一緒に摂取する
ビタミンB6は、たんぱく質のエネルギー代謝の補酵素です。たんぱく質とともに摂取するとスムーズな代謝を促すポイントになります。マグロの赤身やカツオ、サケ、鶏肉(ささみ)、豚肉(ヒレ)など動物性たんぱく質を含む食材に比較的多く含まれているので、さまざまな食品からバランス良く摂取しましょう。バナナや玄米もビタミンB6を有する食品としておすすめです。

たんぱく質を含む主な食品とは

実際に、どのような食品にどれくらい、たんぱく質が含まれているのでしょうか。日本食品標準成分表(2020年)八訂を基に、各たんぱく質のおよその量を紹介します。

・鶏肉(ささみ)(100グラム):24グラム
・豚肉(ヒレ)(100グラム):22グラム
・マグロ(100グラム):26グラム
・カツオ(100グラム):25グラム
・卵(1個60グラム、M):7グラム
・木綿豆腐(100グラム):7グラム
・絹ごし豆腐(100グラム):5グラム
・納豆(1パック50グラム、粒):8グラム
・牛乳(200ミリリットル):7グラム
・豆乳(200ミリリットル):7.5グラム
・無糖ヨーグルト(100グラム):3.6グラム
・プロセスチーズ(1個13.5グラム):3グラム

魚介類に多い乾燥食材は高たんぱく質です。たとえば、煮干しをおやつ代わりにしたり、カツオ節をごはんやおひたし、炒め物などにプラスしたりすることで、たんぱく質を手軽に摂ることが可能です。また、脱脂粉乳やきな粉などでも、料理や飲み物に混ぜることでたんぱく質が摂取できます。日々の食事で工夫していきましょう。

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