中国の若者の間で「ブサかわ」ブーム、美的センスが多元化?

中国の若者の間で「ブサかわ」ブームが起きている。

山東博物館に入ると、「博物館の宝」である「ブサかわいい」亜醜鉞が特に来場者の注目を集めていた。若者に人気の文化財・亜醜鉞のステッカーも大人気で、その文化クリエーティブグッズは売切れ続出の大ヒット商品となっている。

「ブサかわいい」文化財が大人気となっているのは、山東博物館だけではない。中国国家博物館の後漢の時代の撃鼓説唱陶俑や甘粛省博物館の「馬踏飛燕」、江西省景徳鎮市の中国陶瓷博物館の「無語菩薩」といった文化財も「ブサかわいい」ことが理由で人気を集めており、ネットユーザーの間では「ブサイクでもそれぞれにチャームポイントがある」と話題になっている。

中国の若者の間では近年、こうした「ブサかわ」ブームが生じており、博物館の文化クリエーティブグッズからぬいぐるみまで、スタンダードな「美しい」ものよりも、どこか愛嬌のある「ブサかわいい」ものが人気となっている。

山東省済南市の芙蓉街にある文化クリエーティブグッズショップにはたくさんの「ブサかわいい」商品が並んでおり、若者を魅了している。店長の陳雨辰(チェン・ユーチェン)さんは、「ブサイクなものは何の意味もないように見えるかもしれないが、実際にはとても愛嬌がある。例えば、この陶磁器の人形は、唇は曲がっていて、目も斜めを向いているものの、ユーモラスでおどけているように見え、忙しい生活を送る人が見ると、クスッと笑える」と話す。

「ブサかわいい」ぬいぐるみを選んでいた数人の若者は、「これら商品は見た目こそブサイクであるものの、情緒的価値がとても高い」と話していた。例えば、「00後(2000年以降生まれ)」の女性・劉氷如(リウ・ビンルー)さんは、「これらぬいぐるみはとても個性的で、伝統的な美的センスに捕らわれることなく、自分の考え方をもっと自由に表現できるよう、私を励ましてくれる」とした。

また、若者の間では、ペットの世界においてもこの「ブサかわいい」を楽しむようになっている。中国のソーシャルメディアプラットフォームを見ると、ペットを飼っている人たちがネコやイヌの「ブサイク」な顔や姿の写真を使ってオリジナル抱き枕を作るというのが人気を集めている。

山東師範大学・文学院の李輝(リー・フイ)教授は、「美学的角度から見ると、『ブサかわいい』というのは、美的センスが悪くなったということではなく、美的センスが多元化していることの現れだ。このような動向は、『美』の境界線の再設定を促し、『ブサイク』というのも独特な『美』の一つで、それなりのアート的価値があるということを私たちに教えてくれている」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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