中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

労働節(メーデー)連休中、観光客でごった返す甘粛省天水市の秦州区。「天水麻辣燙」の看板が見える。(天水=新華社配信)

 【新華社蘭州6月1日】古代シルクロードの要衝として栄えた中国甘粛省天水市は、地元の名物料理「麻辣燙(マーラータン)」が全国的なブームとなったことで、新石器時代の「大地湾文化」や中華民族の始祖とされる伏羲(ふくぎ)にまつわる「伏羲文化」、三国時代の「三国文化」、麦積山石窟に代表される「石窟文化」など、地域の文化も観光客の注目を集めるようになった。

中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

労働節(メーデー)連休中、甘粛省天水市にある麦積山風景区の入り口にできた長蛇の列。(天水=新華社配信)

 中国でこれまで見つかった中で最も古い新石器時代の遺跡「大地湾遺跡」がある天水は、秦代の人々が都市を築き、蜀と魏が覇権を巡り一進一退の攻防を繰り返した地でもある。東西の文明が出会い、職人が風光明媚(めいび)な麦積山や水簾洞(すいれんどう)などの石窟回廊に彫刻を施した。かつて秦州と呼ばれ、唐代の詩人、杜甫(と・ほ)が蜀に入る前に3カ月余り旅をして「露従今夜白、月是故郷明(露は今夜より白く、月はこれ故郷の明なり)」と詠んだことでも知られる。

中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

労働節(メーデー)連休中、観光客で賑わう甘粛省天水市秦州区のマーラータンの店。(天水=新華社配信)

 初夏を迎え、麦積山石窟や伏羲廟などの歴史的、文化的な観光名所に大勢の観光客が訪れている。複数の風景区が共同で入場券や冊子、グッズを観光客にプレゼントするキャンペーンも展開。市内では、伝統劇「秦腔(しんこう)」に基づいた音楽劇「麦積聖歌」やオリジナル舞踊劇「一画開天」、大型体験型演劇「天水千古秀」などの良質な作品が上演されるほか、無形文化遺産体験や漢服を着用しての記念撮影など文化観光を楽しむための企画も充実している。

 中国の他の都市でも、天水市のように地域特有の文化を観光の核とする取り組みが始まっている。同省慶陽市の無形文化遺産「剪紙(せんし、切り絵細工)」ショーや没入型演劇「楽動敦煌」が最近、広東省深圳市で開かれた中国(深圳)国際文化産業博覧交易会で披露され、好評を博した。

中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

労働節(メーデー)連休中、甘粛省天水市の麦積山風景区に向かう道路にできた車の列。(天水=新華社配信)

 中国の西部地区には悠久の歴史に育まれた文化や名物料理が各地にあり、天水市のように地元の名物料理と名所旧跡や文化遺産を組み合わせた観光モデルを打ち出す動きが広がっている。(記者/梁軍、王紫軒)

中国甘粛省天水、「マーラータン」と悠久の文化を観光の核に

労働節(メーデー)連休中、甘粛省天水市の麦積山風景区を訪れた大勢の観光客。(天水=新華社配信)

© 新華社