群馬県安中市松井田町土塩で31日に民家へ侵入したクマに襲われ、夫婦が重傷を負った被害の発生を受け、安中市は、クマの好物とされるミツバチの巣箱などを住宅地周辺に設置しないよう注意を呼びかける周知の強化に乗り出した。クマによる人身被害防止を目的に、急きょ専用のチラシを作製、配布した。
今回被害に遭った民家の敷地内にはミツバチの巣箱が設置され、市はクマが巣箱を狙って現れた可能性があるとみている。この時季は食料確保のためにクマが活動を活発化させることから、巣箱を住宅地周辺に設置せず、飼育場所を再検討してもらうことなどを促すことにした。
チラシを通じ、ミツバチの飼育に関する法令の周知も徹底する。ミツバチを飼育する場合、趣味であっても住所地の都道府県に飼育届を提出する必要がある。市によると、届け出をせずに飼育を継続すると、法に基づき過料に処される恐れがあるという。
市はチラシで、クマとの遭遇を避ける基本は「においやエサで引き寄せないこと」とし、①野山や田畑、屋外に生ごみを放置、保管しない②廃棄野菜の撤去や放棄果樹の伐採―も要請していく。
チラシは区長の協力を得て被害が発生した細野地区住民への配布を先行。今後発行する市広報紙などでも注意喚起を予定している。
被害は31日未明に発生。夫妻が自宅で就寝中、屋外の物音に気付いた夫が窓を開けると、クマ1頭が侵入し、夫婦が襲われた。