「よくケンカにならなかったよね」キャイ~ン・天野が岡村隆史に言い放った“衝撃の一言”【キャイ~ン&ずん30年来の親友対談】

ウドは正座しながら電話でコンビ結成を頼んだという(撮影:夛留見彩)

ほぼ同期で年齢も近く30年来の付き合いのキャイ~ン(天野ひろゆきさん・ウド鈴木さん)、ずん(飯尾和樹さん・やすさん)。4人は所属事務所(浅井企画)も同じでデビュー当時から苦楽を共にして来ました。

そんな仲よしな4人がエッセイ集『キャイ~ン ずん 作文集 ほぼ同じで、ぜんぜん違う』(徳間書店)を刊行。下積み時代の思い出の地巡りや、4人での旅行の模様、ボケとツッコミが飛び交う座談会、4人それぞれの思いが書かれた作文集など盛りだくさんな内容となっています。

今回のインタビューでは4人それぞれが初めて会ったときのお互いの印象や仲良くなったきっかけなどを、これまた4人とほぼ同期で年齢も近いインタビューマン山下が聞きました(前後編の後編)。

■「こいつ筋金入りのバカだ」。天野がウドに心を許した瞬間

――ウドさんと初めて出会ったとき、天野さんは別の人とコンビを組んでいたんですね。そのころはウドさんも別のコンビを組んでたんですか。

ウド:そのときはコンビを解散して一人になってました。

飯尾:前のコンビのとき、ツッコミをウドがやってたんですよ。「わぁー!あーー!わぁー!」って。ネタみせの審査員に「ツッコミが何を言ってるかわからない」って言われてましたから(笑)。

――ウドさんのツッコミにツッコミがいりますね(笑)。天野さんはウドさんと距離を置いていたのに、なにがきっかけで打ち解けることになったんですか?

天野:次に会ったときにウドちゃんが両指で鼻ほじってて。それで話しかけたの。そしたらウドちゃんに「今、集中しているから話しかけないで」って言われて(笑)。「あっ、この人は筋金入りのバカだ」って思って。そこから話すようになったの。

――それからどうなってコンビを組むことになるんですか?

天野:俺も前のコンビを解散して、そのときに作家の山中伊知郎さんに「じゃあ二人でためせば」と言っていただいて。でもウドちゃんは、コンビ別れをしたときが余りにも切なくて「もう一人でやろう」って決めてたの。

ウド:僕がだらしなくて自分のせいでコンビ解散したんで「一人でやる」って心に決めたときだったんですよ。

――それがなぜ組むことになったんですか?

ウド:一人でやったら全然ウケなかったんです(笑)。

天野:ウドちゃんがやったショートコントが15分あって(笑)。

――ショートじゃないじゃないですか(笑)。

天野:それでウドちゃんが「続きまして」って言ったときにお客さんが倒れたの。もうオンステージ(笑)。

ウド:それで周りから「やっぱり一人じゃダメだな」という声が直接聞こえて来て。

――直接言われたんですね(笑)。周りからなんとなくとかではなく。

ウド:それで「どうしたもんかな」というときに山中さんに「コンビを組んでみたら」って言っていただいて。

天野:それでウドちゃんから電話がかかってきて。

ウド:一世一代のことなんで僕は寝ないで考えて決心して、正座して天野君に家から電話したんです。「もしもし!天野君ですか!ウド鈴木です!僕と!コンビを!組んで!もらえませんでしょうか!!」って言ったら天野君が「(めんどくさそうに)はいはいはいはい、わかりました、はいはい」って。

天野:なんかウドちゃんの温度の上がり方が怖かったの。俺、ゲームやってたし(笑)。

■「なんの意味があるんだ」天野が仕事を拒否する一方、ウドは…

――天野さんとやすさんが初めて会ったのは?

やす:僕が最初に会ったのは前のコンビでネタみせに行ったときでした。ウドちゃんはあんまり変わってないけど天野君は尖ってました。なんかギラギラしてて話しかけられない感じで。

天野:当時、ナインティナインと初めて会ったときに、岡村(隆史)君に俺が言ったのが「お笑いなのにダンスやってる人だよね」って(笑)。

――尖ってますね(笑)。ナイナイさんは当時『天然素材』というお笑いユニットグループでダンスをやっててアイドル的な人気もありましたから。

天野:よくケンカにならなかったよね。岡村くんは俺のことを「やな人だな」って思ったって(笑)。岡村君がキャーキャー言われてたから…今考えたら単なる嫉妬だよね。

やす:天野君は当時、会話はお笑いが全てみたいな…。「君、話してるけど、どうやってオチをつけるの?」みたいな感じなの。だから俺はなんにも話せなかったんです。

飯尾:それはやすの話があまりにも全部普通の話だったからじゃない?

やす:あ~うっかり! コラ! 俺の話がひどすぎたのか(笑)。後、天野君は給料制になったときに事務所に「これぐらいもらわないとやらない」って金額を提示したりとか…もう俺と全然感覚が違うの。でも「俺は能力がある」という、この天野君の自信がすごいなと。

天野:お笑いライブ1本しか出てないころなのに「大卒と同じぐらい給料もらえないと、やれないですね」って(笑)。そしたら専務が社長に話してくれたのよ。

――いい事務所ですね。若手のころ天野さんは『アイドル水泳大会』の仕事に不満を持っていたそうですが。

天野:あったね。アイドルが乗る発泡スチロールを水の中から持つ係で。「この仕事になんの意味があるんだ」と。それで楽屋に閉じこもって「こんなことをやるのは本当に嫌だ。俺は行かない」ってマネージャーに言ってて。それで楽屋のモニターを見たらウドちゃんが「これがやりたかったです!」見たいな感じで発泡スチロールをノリノリで持ってて(笑)。

ウド:アイドルの人たちとプールに入るのが俺は夢だったんですよ。そんな機会はないんですから。

天野:「プールの水、飲んじゃったよ」なんて言ってんの(笑)

■連泊で仲を深めたコンビ結成前のずん

――やすさんが飯尾さんと初めて会ったときはどうでしたか?

やす:ライブで何回かは顔を合わせていたんですが、アニマル梯団のおさるさんと飲んでるときにおさるさんが「今から飯尾君の家に行こうよ」って。

それで家に行ったらいて。今まで会ったことのない柔和な顔でほんわかした不思議なオーラで。「なんなんだこの人はっ」て感じ。それでしゃべったら「面白いな~」って、一発でファンになって。

飯尾:その日二人とも泊まって、おさるは次の日帰ったんですよ。やすはそこから2泊ぐらしていったんだよな。

やす:俺は当時風呂なしだったんですが、一軒家で風呂があるんですよ。「やす、風呂入っていけばいいじゃないか」って言ってくれて。

飯尾:そしたらそこから「帰らないな、こいつ」みたいな。

――やすさんは今では優雅な日常を送っているそうですが

やす:恵比寿のホットヨガに行って、そのあと表参道のヘッドスパ、足ツボマッサージのリフレクソロジー行って、行きつけのカフェでアッサムティを飲む。

最近はそれに学芸大学の水素吸入も加わりました。(笑)

天野:CEOの生活じゃない(笑)。

ウド:やすぼんはトレンドをとらえてる感じがしますね。

やす:トレンドとかじゃなく好きなことをやってたら… たまたまですよ。

天野:気づいたら意識高い系の生活してたの?

やす:そうです。

天野:ふざけるな! 常温で水道水飲んどけよ(笑)。

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