レアル・マドリード、2年ぶり15回目のCL制覇! ドルトムントは前半の猛攻実らず決勝で涙

チャンピオンズリーグ(CL)・決勝が1日に行われ、ドルトムント(ドイツ)とレアル・マドリード(スペイン)が対戦した。

今シーズンの“欧州最高峰の戦い”も、遂に最終章に突入。今季の決勝は、名称が「チャンピオンズリーグ」に変更された1992-93シーズン以降に限定すると、22年ぶり3度目の「ドイツ勢vsスペイン勢」という構図となった。

ドルトムントとレアル・マドリードが公式戦で対戦するのはこれが通算15回目。過去14度の対戦においては、ドルトムントが3勝、レアル・マドリードが6勝、引き分けが5つとなっている。直近では2017-18シーズンのCL・グループHで同居しており、当時はレアル・マドリードがホーム、アウェイどちらも勝利していた。ちなみにこのシーズン、最終的にレアル・マドリードは大会3連覇を飾っている。

今大会、ドルトムントはパリ・サンジェルマン(PSG/フランス)、ミラン(イタリア)、ニューカッスル(イングランド)と同居する“死の組”のグループFに組み込まれるも、3勝2分1敗と安定して勝ち点を積み上げ、首位通過を果たす。ラウンド16ではPSV(オランダ)を2戦合計3-1で、準々決勝ではアトレティコ・マドリード(スペイン)を2戦合計5-4で下すと、準決勝ではPSGとの“再戦”に臨んだ。ファーストレグをニクラス・フュルクルクのゴールにより1-0で制すと、PSGの本拠地『パルク・デ・プランス』へ移ったセカンドレグでは、フンメルスがヘディングシュートで待望の1点を沈め、2戦合計2-0と勝利。2012-13シーズン以来、11年ぶりのCLファイナル進出を決めた。

一方で、レアル・マドリードはナポリ(イタリア)、ブラガ(ポルトガル)、ウニオン・ベルリン(ドイツ)と同居したグループCを、6戦全勝と圧倒的な成績で終えると、ラウンド16ではライプツィヒ(ドイツ)を2戦合計2-1で撃破。準々決勝では前回大会の王者であるマンチェスター・シティ(イングランド)との死闘を2戦合計4-4で終え、PK戦(○4-3)の末に勝利を掴む。準決勝ではバイエルン相手に一時は追い込まれながらも、セカンドレグの終盤にホセルが2得点を奪い、劇的な形で4-3と逆転勝利を飾っていた。

ファイナルに向けて、レアル・マドリードはロドリゴ、ジュード・ベリンガム、ヴィニシウス・ジュニオールといった主力をスターティングメンバーとして送り出した。EURO2024終了後の現役引退を表明したトニ・クロースにとっては、レアル・マドリードでの“ラストダンス”となる。また、試合直前にインフルエンザに見舞われたこともあって、GKアンドリー・ルニンはベンチスタートに。負傷の影響で長期離脱を強いられていたGKティボー・クルトワが、ファイナルでCL今季初出場を果たした。

一方、1996-97シーズン以来、2度目の“欧州王者”を目指すドルトムントは、ここまでの戦いで主力を張ってきた選手たちをスターティングメンバーに並ぶ。主将のエムレ・ジャンを筆頭に、ジェイドン・サンチョやフュルクルクらが先発に名を連ねた。

試合は立ち上がりからドルトムントが中央で守備を固めつつ、マイボールになると縦への素早い攻撃でチャンスを作るシーンを増やしていく。14分にはニコ・シュロッターベックからのロングフィードで、フュルクルクが背後のスペースへ抜け出すと、落としのパスを受けたユリアン・ブラントが右足で狙うも、ここは枠の外へ。

さらに21分、今度はもう1人のセンターバック、フンメルスが最終ラインから持ち運んでスルーパスを送ると、飛び出したカリム・アデイェミにチャンス到来。GKティボー・クルトワをかわしたが、タッチが大きくなり、強引なフィニッシュはダニエル・カルバハルのブロックに阻まれる。直後の23分には、イアン・マートセンが敵陣でエドゥアルド・カマヴィンガからボールを奪い返し、スルーパスで抜け出したフュルクルクがダイレクトで左足を振る。コースを狙ったシュートは右ポストに嫌われた。

前半は総じてドルトムントのペースで進み、アデイェミ、フュルクルク、サンチョ、ブラントらが絡んでゴールを脅かすも、均衡を破るまでには至らない。対するレアル・マドリードは、序盤にフェデリコ・バルベルデやヴィニシウス・ジュニオールが強引にフィニッシュまで持ち込むシーンこそ作ったが、決定機と呼べるようなシーンは少なく、後半に巻き返しを狙うこととなった。

後半に入ると、レアル・マドリードが息を吹き返す。ロドリゴの立ち位置を微調整して起点を作り、良い形で攻撃へ転じるシーンが増加。49分にはペナルティエリア手前左寄りの位置で得たフリーキックでクロースが右足を振り抜くも、ここはGKグレゴール・コベルがビッグセーブを見せる。直後のコーナーキックではカルバハルがヘッドでゴールを脅かした。

ドルトムントも難しい時間帯を凌ぎ切ると、63分には速攻でビッグチャンスを構築。アデイェミからのアーリークロスにフュルクルクが頭で合わせたが、ヘディングシュートはGKクルトワが弾き出した。

徐々に流れを引き戻したドルトムントは72分、アデイェミを下げて、この試合がドルトムントでのラストゲームとなるマルコ・ロイスを送り出す。2列目の並びを変更し、待望の1点を奪うべく動いたが、先に1点を挙げたのはレアル・マドリードだった。

73分、左サイドから個人技で仕掛けたヴィニシウス・ジュニオールが左コーナーキックを獲得。クロースの蹴ったボールは跳ね返されたものの、ドルトムントはセカンドボールをうまく繋げない。最終的にはルーズボールを拾ったバルベルデがミドルシュートを放ち、ブロックされたことで再び左コーナーキックを得る。またもクロースがキッカーを務め、右足でニアサイドにボールを入れると、うまく前へ入ったカルバハルがヘディングでゴールネットを揺らし、レアル・マドリードが大きな先制点を奪った。

このゴールで完全に試合の流れを掌握したレアル・マドリードは、83分にも相手が見せた隙を見逃さない。マートセンの横パスがボックス手前のベリンガムに渡ると、左でフリーでパスを受けたヴィニシウスが、冷静に左足で流し込む。大会の盟主たる所以を示すかのごとく2得点を奪い、レアル・マドリードが勝利を決定付けた。

後がなくなったドルトムントは88分、途中出場のドニエル・マレンのクロスボールから、フュルクルクが頭でゴールを決めるも、ここはオフサイドのため得点は認められない。結局、ドルトムントは最後まで1点を挙げることができずに、試合終了の笛が吹かれた。

前半は完全にドルトムントが主導権を握りながら、後半に入るとレアル・マドリードが盛り返し、最終的には0-2というスコアでタイムアップ。この結果、レアル・マドリードが2021-22シーズン以来2年ぶり、“前人未到”通算15回目の優勝を果たした。

【スコア】
ドルトムント 0-2 レアル・マドリード

【得点者】
0-1 74分 ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)
0-2 83分 ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)

【スターティングメンバー】
ドルトムント(4-2-3-1)
GK:グレゴール・コベル
DF:ユリアン・リエルソン、マッツ・フンメルス、ニコ・シュロッターベック、イアン・マートセン
MF:エムレ・ジャン(80分 ドニエル・マレン)、マルセル・サビツァー;ジェイドン・サンチョ(87分 ジェイミー・バイノー・ギテンス)、ユリアン・ブラント(80分 セバスティアン・ハラー)、カリム・アデイェミ(72分 マルコ・ロイス)
FW:ニクラス・フュルクルク

レアル・マドリード(4-3-3)
GK:ティボー・クルトワ
DF:ダニエル・カルバハル、ナチョ・フェルナンデス、アントニオ・リュディガー、フェルランド・メンディ
MF:フェデリコ・バルベルデ、エドゥアルド・カマヴィンガ、トニ・クロース(85分 ルカ・モドリッチ)
FW:ロドリゴ(90+1分 エデル・ミリトン)、ジュード・ベリンガム(85分 ホセル)、ヴィニシウス・ジュニオール(90+4分 ルーカス・バスケス)

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