【ナゼ?】万博メタンガス爆発事故で教育現場に不安…“心配はない”はずのパピリオンエリアでも検出 波紋を呼ぶ万博への遠足(後編)

【ナゼ?】波紋を呼ぶ…万博への遠足「希望する学校1つもない」 大阪・交野市長が表明した背景とは?(前編)

2025年大阪・関西万博をめぐり、交野市長が「(万博への遠足に)学校単位で行かなくてもいい」と表明し、波紋が広がっている。理由の1つが、今年3月に起きた「メタンガス爆発事故」だ。30日、新たにパビリオンが立ち並ぶエリアでもメタンガスが検出されたことで、教育現場の不安はより一層強まる可能性がある。(報告:万博取材班)

■3月に爆発事故 教職員組合「同じような事故が起こるのでは」

「同じような事故が起こるのではという不安や子供を連れていって大丈夫なのかという心配の声があがっている。招待という形でやる以上、きちっとしたサポートをやるべきだ」

大阪府が進めている府内の小・中学生などを学校単位で万博に無料で招待する事業に対し、4月18日、 大阪府の教職員らで作る労働組合が「待った」の声をあげた。

その理由は、3月28日にトイレの建設現場で溶接作業中の火花が可燃性のガスに引火して起きた爆発事故だ。コンクリートの床が約100平方メートルにわたって壊れたほか、天井などにも損傷が見つかった。

万博会場の夢洲は元々、産業廃棄物の処分場で、地下にはメタンガスなどの可燃性ガスが溜まっていて、会場内にはガスを抜くパイプなどが設置されている。万博協会は工事前にガス濃度の測定を行わなかったことが事故の原因として、再発防止策をまとめた上で、4月22日に工事を再開した。

■万博協会「心配していない」と説明した場所からガス検出

ところが、当初は“メタンガスが出ない”と説明されていたエリアからも、メタンガスが出ることが新たに判明した。

事故を受けて、万博協会は海外や企業などパビリオンが集結する「パビリオンワールド」の建設現場内のメタンガスの濃度を再検証した結果、4か所で低濃度のメタンガスを検出したと発表した。

万博協会は、検出されたガスの濃度は最大7%LELで、法令で火器の使用禁止や労働者の退避が求められる基準(30%LEL)の4分の1以下だとして、万博協会は工事は継続するという。

ただ、このパビリオンワールドのエリアについて、爆発事故後の4月に行われた会見では、「(事故が起きた)グリーンワールドと違ってガス抜きパイプもないし、土地を借りるにあたっての条件・制限はないと大阪市から聞いていたので、何も対策しなくていいということで進めてきた」と説明。埋め立てに使われた材料が事故現場の土壌とは異なることから、「心配はしていない」としていたエリアだった。

5月30日の会見では報道陣から質問が相次いだが、万博協会は、「海底には有機物があるので、(メタンガス検出は)よく起こり得る事象ではあると一般的にいわれている」と釈明した。

■府への回答期限は5月末…教育現場からも「メタンガス爆発」の懸念

「万博への招待事業」について、大阪府は各学校に5月末までに回答するよう求めていた。大阪府の吉村知事は、対象となる約1900校のうち、24日時点で約1280校から回答があり、そのうちの約75%にあたる約950校が「希望する」としていることを明らかにしている。

ただ、メタンガス爆発への教育現場の不安の声は根強い。読売テレビが取材した府内の小学校の校長は、「未定・検討中」と回答したことを明かした上で、その理由に「メタンガス」の懸念を語った。「希望する」と回答した府内の学校も「不安要素があるのは同じ」と打ち明けた。

新たにパビリオンが集まるエリアで低濃度ながらメタンガスが検出されたことで、さらに不安が拡大することが懸念される。

万博協会は、専門家の意見を聞いた上で、ガスが検出された原因を調べ、6月中に安全対策を取りまとめるとしているが、1日に最大約23万人が訪れると推定される万博会場で、教育現場にとっては「子供の安全」が最優先であることに変わりはない。

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