【早出し】蔵王の自然、守る一歩に 山形で女子ジャンプ・高梨選手と100人がごみ拾い

高梨沙羅選手(手前右)とごみを拾いながら山歩きを楽しんだ参加者=山形市蔵王温泉

 ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅選手(27)=クラレ=とごみ拾いをしながら山を歩くイベントが1日、山形市のアリオンテック蔵王シャンツェ(市蔵王ジャンプ台)周辺で開かれた。温暖化の影響で世界各地で大会が中止されたり、蔵王では樹氷が真冬に崩壊したりと気候問題は深刻化している。雪山の変化に危機感を抱く高梨選手は「自然をこの先も残したい」と訴え、参加者は環境問題への意識を高めた。

 50回を数える「蔵王山クリーン作戦」の一環で「トレッキング&クリーンアクション」として実施。スノースポーツができる環境を次世代に残そうと、高梨選手が発起人となり昨年5月に立ち上げた「JUMP for The Earth PROJECT」が昨年に続き企画した。この日は県内外から親子連れなど約100人が参加した。

 蔵王山岳インストラクターの案内で、同ジャンプ台から瀧山(りゅうざん)の登山道まで、1時間ほどをかけて約2キロを歩いた。参加者は低地と比べ遅く芽吹いた新緑を眺めながら、高梨選手との会話を楽しみ、空き缶やビニール袋などのごみを拾った。2回目の参加という山形市高原町の会社員鈴木俊弘さん(54)と山形大付属小5年啓仁(ひろと)さん(11)の親子は「地元の自然を通して、環境問題を身近に捉える機会になった」と話した。

 今年1月に同ジャンプ台で開催されたワールドカップ(W杯)ジャンプ女子蔵王大会は、雪不足で開催が危ぶまれ、最終日は雨で試合が中止となった。母方の祖父母が本県出身で、2012年にW杯で初優勝を飾るなど、思い入れのある蔵王でも温暖化の影響が見られることに高梨選手は「特別な場所が変わってしまうのは悲しい。自分たちもできる小さなアクションを積み重ね、大きな一歩にしたい」と語った。

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