【独自解説】韓流ドラマも真っ青の泥沼化⁉韓国大統領夫人・金建希氏のスキャンダル“高級バッグ賄賂疑惑”、総選挙後から急展開!「他の人もブランドバッグを持ってきていた」新証言続出で捜査の行方は?

【深堀解説】“ハメられた”…韓国大統領夫人に特大スキャンダル勃発 “高級ブランドバッグ”受け取り疑惑 韓流ドラマもびっくりの展開に親日政権大激震!?【動画で見る】

韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻・金建希(キム・ゴンヒ)氏に取り沙汰されている“高級バッグ賄賂疑惑”。しかし、疑惑とされた動画は問題だらけで…。また、検察の人事巡って韓国ドラマも真っ青の展開に⁉さらに、総選挙後スタートした本格捜査では、“衝撃の暴露”が明らかに!チェ牧師とは、どんな人物?“協力関係”と思われたチェ牧師と『ソウルの声』に泥沼戦争勃発?韓国情勢に詳しい龍谷大学・李相哲(りそうてつ)教授の解説です。

“高級バッグ賄賂疑惑”を振り返り!金氏にバッグ渡したチェ牧師は「とんでもない人、ずっと嘘をついてきている」!?そして、実は問題だらけの「暴露映像」…一体、何が?

2023年11月、YouTubeで公開されて大騒動に発展したのが、在米韓国人のチェ・ジェヨン牧師が渡した『クリスチャンディオール』の高級バッグを金建希氏が受け取ったとされる映像(撮影は2022年9月)。これを受け、野党側は「YouTubeの主張が事実なら違法!賄賂かどうか明確にしなさい!」「金氏は高級バッグを受け取ったのか?大統領室の立場を明らかにするべきだ」と猛批判しました。

一方、この映像は“問題だらけ”だと判明。まず、チェ牧師が金氏にプレゼントした高級バッグは、映像をYouTube上に公開したインターネットメディア『ソウルの声』のイ・ミョンス記者が自腹で購入したものでした。また、チェ牧師が撮影するための“隠しカメラ内臓の腕時計”もイ記者が用意するなど、取材方法が問題に。隠し撮りについて、チェ牧師は「国民の知る権利のために、いくらでも取材は可能であり、それは犯罪ではない」と主張しました。しかし、龍谷大学・李相哲教授は「記者倫理に欠ける。仕掛けられた疑惑」と指摘します。

(龍谷大学・李相哲教授)

「高級バッグを『ソウルの声』が買ったことも不思議で、その裏には“民主党の関係者”がいるんじゃないかという疑惑があります。そこに、尹大統領に対して批判的な『MBC』の記者も絡んでいて“工作のにおい”がする上に、隠しカメラを使って大統領夫人を脅していますので、いろんな見方がありますが、一言で言うと、取材には倫理的に問題がありました」

韓国には、『キム・ヨンラン法(不正請託防止法)』と呼ばれる法律があります。“公務員の配偶者が、公務員の職務と関連して一回100万ウォン(約11万円)以上、または一年に300万ウォン(約34万円)の金品などの授受を禁じる”というものですが、処罰されるのは公務員で、配偶者は処罰されません。

Q.今回の場合、“公務員”とは尹大統領のことですか?

(李教授)

「尹大統領は大統領なので、処罰できません。ですから、法律的には問題ないんです。しかも、尹大統領は知らなかったわけですから、それも処罰対象にはなりませんので、処罰はできない案件です。大統領夫人には外国からもプレゼントがありますし、このバッグも開封せずに大統領府の保管室に移したのですが、そのことを大統領府が早く発表しなかったところに不信感が出ているのだと思います。また、このチェ牧師は『金氏の親族と昔からの知り合いだ』と言って接近し、尹大統領が自宅から大統領府に出勤していた時期に“お祝い”として持ってきました。ただ、金氏が受け取ったのは“賢明な行動ではなかった”というのは、その通りです」

チェ牧師は2022年1月、通信アプリを通じて初めて金氏とコンタクトを取りました。その4か月後の2022年5月、大統領就任式に招待されて初対面となりましたが、実は“親・北朝鮮”とされ、尹大統領とは真逆の立場にある人物だといわれています。

(李教授)

「チェ牧師はとんでもない人で、『北朝鮮には宗教の自由があって、500か所に“家庭教会”がある』と主張するなど、ずっと嘘をついてきている人です」

さらに、『ソウルの声』がインターネットメディアということもあり、李教授は「視聴回数増=収益増という特性上、韓国のYouTubeメディアの中には、より過激な内容を追求するとこともある。金氏の疑惑は恰好のネタになった」と指摘しています。

『祖国革新党』曺国代表・『共に民主党』李在明代表が共闘し、尹政権への攻撃準備中⁉そんな中、捜査を主導していた検察幹部の「左遷」ともみられる人事が…尹大統領の思惑は?

映像公開から2か月が経った、2024年2月。韓国『KBS』が尹大統領との特別対談を放送しましたが、尹大統領から謝罪の言葉はなく、「はっきり断れなかったことは、やや問題と言えば問題だ。少し残念だったと思う」と話すに留まり、賄賂疑惑解明に向けた大きな進展はありませんでした。2024年4月には総選挙が控えていたため、韓国国内では「進まない捜査は“政権への忖度”」という憶測が出ていましたが、総選挙後に事態が一変。

投開票翌日の4月11日、『祖国革新党』曺国(チョ・グク)代表は「今回の選挙結果は、検察にとっても無関係ではない。金夫人を召喚して調査せよ!」「“金建希特検法”などが本会議を通過するのは、『共に民主党』との協力が必須。積極的に協力し、速やかに処理するだろう」と警告。5月2日にはイ・ウォンソク検事総長が「専属チームを立ち上げ、速やかに捜査せよ」と指示し、ソウル中央地検は3人のエース検事を追加招集したということです。

Q.総選挙で尹政権側は負けたわけですが、金氏の件は少なからず影響したと思いますか?

(李教授)

「“元検事総長の尹大統領は家族に対しては寛容で、野党に対しては厳しい”というようなストーリーを作られました」

Q.「特検法」とは、どういうものですか?

(李教授)

「特別検察を任命して、捜査チームを新たに作って捜査することです。韓国では、捜査がなかなか進まない特別な案件に関しては、国会で特別検察を任命します。ただ、野党が3人を推薦して、その中から大統領が選びます。つまり、野党がお気に入りの弁護士などを引っ張ってきて大統領や夫人を調べますので、これが問題だとして、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に『高位公職者不正捜査庁』を作り、それが本当の意味での“特別検察”だったのですが、全く機能していません」

曺国代表の発言に「『共に民主党』との協力が必須」とありましたが、韓国・国会の勢力図は捻じれています。選挙前は野党『共に民主党』が156議席・与党『国民の力』が114議席でしたが、選挙後は『共に民主党』が175議席、『祖国革新党』の12議席を合わせると、野党は187議席に。しかし、「大統領の弾劾」「大統領拒否権の無力化」に踏み切れる定数300議席の3分の2以上には達していません。

Q.200議席を超えていないので、大統領には「この捜査はやめてください」と拒否する権利がありますよね?

(李教授)

「国会で過半数の同意が得られれば『特別検察法案』は可決されますが、それを大統領に持っていくと、拒否権を発動します。すると、国会で再議論しますが、その際には3分の2が必要です。しかし、まだ今国会が解散していませんから、野党は156議席のままです。ただ、114の与党議員の中には、今回公認候補に選ばれなかった人たちがたくさんいて、その人たちに対する工作を仕掛けて、5月28日に今国会中で『特検法』を通そうとしています」

一方、5月9日に尹大統領が「妻の賢明とは言えない行動により、国民の皆さんにご心配をかけたことに対し、謝罪申し上げる」と、賄賂疑惑を始めて謝罪しました。ただ、特検法については、「特検法は、検察などの捜査に手抜き疑惑があるときに行うものだ。前政権で2年半近く、私をターゲットにした捜査が行われた。捜査をやるだけやったのに、またやろうというのは、特検法の本質や趣旨に合わない政治的行為ではないか」と話しました。金氏は、5月16日・19日・21日と立て続けに公の場に姿を現しましたが、騒動については何も語りませんでした。

Q.尹大統領は「今更蒸し返して、もう一回やるのか?」と、ちょっと怒っていますね?

(李教授)

「特別検察がやれば、その捜査過程に認知された案件もします。『何か一つ小さな問題があっても、特別検察は引っ張り出してやる』という、“恥をかかせる”という法案なんです」

しかし、ここに来て“韓国らしい動き”が―。いよいよ検察が動くかと思いきや、法務部が最高検察庁の幹部人事を発表。金氏の捜査を担当していた検察幹部ら(賄賂疑惑担当・株価操作疑惑担当・ソウル中央地検長)が他部署へ“昇進した”とされていますが、左遷異動ともいわれています。

そして、捜査のトップである新ソウル中央地検長に任命されたイ・チャンス氏は、尹大統領が検事総長だった2020年に最高検察庁の広報担当を務めていた人物で、“尹大統領の最側近”ということです。

検察庁法によると、「検事の人事は、法相の推薦により大統領が行う。この場合、法相は検事総長の意見を聞いて、検事の人事を大統領に推薦する」ということです。しかし2020年、チュ・ミエ法相(当時)は、当時の検事総長だった尹大統領に相談せずに、検察幹部らを地方に送る人事を行いました。尹大統領は、「チュ法相が法務部に来いと言うので行ったら、人事案がすべて作られていた。人事案を見せるのが人事協議ではない。人事協議というのは、実質的に議論をしろという意味だ」と反論していました。

「今回の人事については説明があったか?」との問いに対し、イ・ウォンソク検事総長は「これについては発言を控えさせていただきたい」、パク・ソンジェ法相は「検事総長とは、話し合いをちゃんとしました。でも、その内容を全て受け入れないと人事ができないということではありませんよね」と答えました。

(李氏)

「ちょっと猶予してほしいというふうに提案したはずです。今回の人事の特徴は、文在寅前大統領・曹国・李在明に対する捜査がのろのろと全く進んでいないので、彼らを捜査するためにイ・チャンスをソウル地検長にしたんじゃないかといわれています。尹大統領は『2年経っても何も進んでいないのに、金建希氏に対する捜査だけは一生懸命やるのはおかしいじゃないか』と、怒っているはずです。また、2年間人事がなくて、時期には来ています。ただ、一線の検事たちは異動してないはずで、40名近くの幹部の人事をやりました」

「私以外にもブランドバッグを持ってきていた」チェ牧師が衝撃暴露も、ここにきて“賄賂疑惑”を否定!「証拠ある」と主張する『ソウルの声』と、今度は何故かこの2者が泥沼戦争化⁉

“高級バッグ賄賂疑惑”については2024年5月に入って本格捜査が開始され、関係者が事情聴取を受けました。被疑者となったチェ牧師は、「知っている事実について思うところを明らかにし、事実関係を確認してやった。判断するのは検察」と話していますが、証拠資料は何も提供していないということです。ただ、「私以外にも、同じ日に待機していた人がブランドバッグを持ってきていた」「金氏は過去に、大学設立者から114万円相当の高級な“松の木の盆栽”を受け取っていた」など、“衝撃発言”も飛び出しました。大統領側は、この件に関しては特にコメントはしていません。

一方、告発した『ソウルの声』ペク・ウンジョン代表は、「何かお願いをされてプレゼントを渡して来たら、受け取らずに連絡を絶つはずなのに…。金氏は長い間“賄賂”を受け取って、中毒になっていたのではないか」と話しました。ペク氏は、『30分間の映像』『金氏とチェ牧師のカカオトークの会話のキャプチャ』『接見内容をまとめたメモ』を検察に提出。さらに、「金氏を召喚して調査するのなら、尋問に同席して、そこで証拠をさらに提出する」と話し、まだ“隠し玉”があることを示唆しているのではといわれています。

Q.金氏の捜査は動くと思いますか?

(李教授)

「実は今、『ソウルの声』とチェ牧師との間で泥沼戦争が始まっています。チェ牧師は「請託、つまり何かを頼みに行ったわけではない」と、はっきりと言っています。恐らく彼は、処罰されるのが怖いんでしょう」

Q.法律には“公務員の職務に関連して”とあるので、『職務に関連していなければ渡してもいい』ということですよね?

(李教授)

「公務員の職務には関連していないし、『自分はお祝いに行っただけだ』とはっきり言っています。ただ、『ソウルの声』としては『チェ牧師は何かを頼みに行ったんだ、その証拠を私たちが持っているんだ』と主張していますので、そう言ってほしくないわけです。それで、チェ牧師と『ソウルの声』の間で揉めていると。ただ、『ソウルの声』側も証拠があると言いながら、『今の検察が気に食わないから提出しません』と言っていて、本当にあるかないかは怪しいです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年5月23日放送)

© 株式会社ytvメディアデザイン