RBCiラジオの「神回」をテレビでも 琉球放送の笑いにあふれる新番組「ラテ神」が好調

 琉球放送(RBC)はラジオ番組の特に面白かった回(神回)の音源を基にしたテレビ番組「ラジオの神回テレビで語る」(ラテ神(かみ))のレギュラー放送(金曜深夜0時43分~)を4月から始めた。創立70周年を迎える同社として初めての試みで、全国的にも異例という。飯島將太プロデューサーは「このフォーマットが広がって『RBCが最初だよ』みたいに言えたら、ちょっと格好良いなと思う」と、ラジオとテレビを兼営する放送局の強みを生かした新番組に意欲的だ。(社会部・真栄里泰球)

 これまでに人気ラジオ番組「具志堅ストアー」「週刊リッスン」「Bランチ」を取り上げた。「今すぐ使えない中国語講座」「元カレへの未練あります」「民間放送連盟賞を獲得の神回」などのテーマでエピソードと裏話が展開された。番組公式ハッシュタグ「#ラテ神」を付けたSNSへの投稿も呼びかけている。

 レギュラー化に先立ち昨年12月29日に放送した特番は、X(旧ツイッター)の沖縄ローカルのトレンドで1位を獲得。司会の與那嶺啓アナウンサーは「ラジオ、テレビ、SNSとリスナーの好循環が生まれたらいい」と話す。

 沖縄ネタを独自目線でランキングする琉球朝日放送(QAB)のテレビ番組「ウチラン」が昨年調べた沖縄人気ローカルラジオ番組のランキングで、RBCiラジオはトップ10に5番組が入った。飯島は「現在のラジオ番組数はミニ枠なども入れると相当な数。4月期の全放送時間に占める自社制作率は67.3%になる」と説明する。

 ラテ神は、RBCiラジオで放送された番組のコーナーやフリートークの「神回」音源を、その番組パーソナリティーと一緒に振り返る。

 数多くの番組から「神回」をどう選ぶのか。飯島自身は熱心に番組チェックをしているわけではないという。「ディレクターやパーソナリティー、リスナーからの推薦で成り立っている。その番組を初めて聞いた人が面白いかが重要なファクターなので、テレビ屋として、ラジオの音源を聞いて面白いかどうかで判断したい」との考えだ。

 司会に與那嶺を起用したのも、テレビの夕方のニュースの顔を務め、同局で“最もラジオから遠いアナウンサー”だったからだ。與那嶺も「2016年から夕方のキャスターを務め、会社としてそこに集中してほしいと、ラジオを離れた。生のラジオ番組をしたことがないアナウンサーは現役では僕が唯一だと思う」と話す。ニュースでは見られない與那嶺の横顔を引き出すのも飯島の狙いだ。與那嶺は「皆さんがいろいろ考えてくれて、身を削りながらやっています」と笑う。

 ラテ神の特番は、ユーチューブでローカル番組としては異例の約1万8千回の再生回数を記録。レギュラー放送の視聴率やTVer(ティーバー)再生数は非公表ながら「好調な滑り出し」(飯島)という。

 琉球放送は1954年にラジオを、60年にテレビ放送をそれぞれ開始した県内初の民間放送局。創立70周年を控えた社内アンケートで「ラテ兼営局を象徴するコンテンツがなく、強みを生かせていない」との課題が浮かび上がった。

 そこに向き合って生まれた番組が「ラテ神」。笑いにあふれる新番組は、老舗地方局の将来を切り開く存在になれるのか、注目だ。

「ラジオの神回テレビで語る」の収録に臨む(左奥から時計回りに)MCの與那嶺啓、ゲストのナガハマヒロキ、嘉大雅、糸数美樹=6日、那覇市・琉球放送

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