建設中のマカオLRT東線、青茂イミグレーションへの延伸条件整う

珠海市で開催されたいわゆるV字型ゾーンの管轄権移行セレモニー=2024年5月31日(写真:GCS)

 マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」では複数の新線の建設が同時並行で進められているが、このうち東線(East Line)について新たな動きがあった。

 東線は昨年8月に着工し、マカオ半島北端にある主要な陸路のイミグレーション施設「關閘」付近からマカオ半島の北東沿岸、マカオ半島東側の沖合に造成中の埋立地「新城A区」を経由して、海を越えてタイパ島北東部沖に造成中の埋立地「新城E区」を全線地下で結ぶ約7.7キロ、設置駅数は6駅の路線。タイパ島側の終点駅の先に線路を伸ばし、タイパフェリーターミナル駅でタイパ線と接続する計画で、2028年完成予定となっている。

 關閘エリア周辺には中国本土(広東省珠海市)とのボーダーが入り組んだ形で存在しているが、起点となる關閘イミグレーション最寄駅(仮称:ES1駅)建設予定地の真横にあるV字型ゾーン(珠海市拱北口岸東南側の陸地1439平米及び海域2261平米)について、中国国務院が5月24日、中国全人代の決定と関連法に基づき、同月31日からでマカオにマカオLRT東線の用地としてレンタル方式で管轄権を与える決定がなされた。

マカオLRT東線の關閘エリア「ES1駅」の「V字ゾーン」に絡む計画比較(図版:マカオ政府公共建設局の資料より抜粋)

 記事内の図版(マカオ政府公共建設局が公表したマカオLRT東線建設工事紹介資料より抜粋)の①と②は、①がV字型ゾーンを避けた当初計画、②がV字ゾーンを活用したオプション案の比較。①の場合は行き止まりとなるが、②では西方向への延伸余地を残すことが可能となり、また關閘イミグレーション施設との連絡通路も①より65メートル短縮できるとしている。今回の決定を受け、オプション②の採用が可能となったことから、關閘と並ぶ主要な陸路のイミグレーション施設「青茂口岸」のある青洲エリアへの延伸が現実的に。

 5月31日、珠海市でV字型ゾーンの管轄権移行セレモニーが開催され、珠海市側とマカオ側、また中国中央政府のマカオ出先機関の代表らが出席。マカオ政府行政法務司の張永春司長は祝辞の中で、中央、広東省、珠海市によるマカオに対する多大な支持への感謝を述べた後、マカオLRT東線が關閘及び青茂の人流が多い2つのイミグレーションへの延伸条件が整い、マカオ半島北部の渋滞解消、居民、旅客の移動の利便性に大きな効果を発揮し、マカオLRTの利用率向上にもつながり、マカオ全体の交通環境の改善につながると期待を示した。

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