定年退職後のお金が不安 正念場の50代、どう備える? あの手当、親の資産… FPに聞く

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 定年退職した後のお金が不安…。そんな人は少なくないでしょう。正念場と言える50代をどんな考え方で臨み、どのように備えればいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さん(65)に聞いた「定年後のお金」のQ&Aから、いくつかの項目を紹介します。(聞き手・斉藤正志)

 ### ■今秋拡充 頼りになるあの手当

 -老後の対策をしたいけど、まだ幼い子どもがいる家庭もあります。

 「(2024年10月から拡充される予定の)児童手当を全部貯蓄すると、18歳までに計約230万円(制度拡充後の第1子)になります。老後の資金は定年後も働けばためられるので、まずは教育費を考えてください」

 ### ■知っておきたい親の資産

 -50代になると、親の介護などの問題も出てきます。

 「親の入院、介護などは、親のお金で賄ってもらわないとだめです。だから、親の資産や年金額などを教えておいてもらわないといけません。聞きにくいかもしれませんが、足りるかどうか知っておくことが大切です」

 ### ■親も望まない介護離職

 -仕事と介護の両立が難しい場合があります。

 「大変なケースもあると思いますが、介護離職は、できるだけしないようにしてください。50代からだと、自分の希望する仕事内容で、希望する収入を得るのは難しくなるからです。親も自分が亡くなった後、子どもの生活が苦しくなるのを望んでいないはずです。介護休暇、介護休業の制度もあるので、何とか離職しない方法を考えてください」

 ### ■年金はモデル額で月22~23万円

 -例えば会社員の夫が厚生年金に40年間入っていて、妻が専業主婦だったら、年金はどれくらいもらえるのでしょうか。

 「(厚生労働省の)モデル年金の考え方ですね。他の条件にもよりますが、だいたい夫婦で月額22万~23万円になります。月に25万円で生活すれば苦しくなりますが、ちょっと家庭の支出を見直せば、23万円くらいには落とせますよね」

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 井戸美枝(いど・みえ) 神戸市出身。ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士。年金・社会保障問題が専門。国民年金基金連合会理事。「一般論はもういいので、私の老後のお金『答え』をください!増補改訂版」(日経BP)、「最新データと図解でみる定年後のお金と暮らし」(宝島社、坂本貴志氏との共著)など著書多数。

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