ローグライト×推理パズル『探偵死神は誘う』で殺人事件を解決!カードを使った駆け引きやランダム生成は面白いが、UIやゲームシステムには不満点も【プレイレポ】

ローグライト×推理パズル『探偵死神は誘う』で殺人事件を解決!カードを使った駆け引きやランダム生成は面白いが、UIやゲームシステムには不満点も【プレイレポ】

SHIZU KANO UMIが手掛け、2024年5月25日よりPC(Steam)向けに配信されたパズルADV『探偵死神は誘う』。本記事では同作の内容をご紹介するプレイレポートをお送りします。

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なお本記事では、PLAYISMから提供されたSteamキーを使用しています。

『探偵死神は誘う』とは?

本作は、ローグライト要素のあるパズルアドベンチャーです。プレイヤーは、“探偵死神”となって容疑者の証言などをヒントに推理し、ランダム生成される殺人事件の犯人を見つけ出すのが仕事です。

推理のルールには、「犯人は必ず嘘を吐く」「無実の者は必ず真実を述べる」という大原則があります。これは、公務員試験やSPIなどで用いられる数的処理問題の1分野で「判断推理(いわゆる嘘つき問題)」と呼ばれる、論理思考パズルのようなイメージです。

例えば、とある事件で被疑者が3人いるとします。X:「犯人はYに決まっている」Y:「私は犯人じゃない」Z:「私とXは犯人ではありません」という具合に、この中の誰かが嘘をつき、本当のことを言っています。

それらの証言と状況証拠を手がかりに、矛盾点やおかしな点について論理的思考(ロジック)を使って洗い出し、真犯人を絞っていく過程は非常にスリリングで、自分の推理が当たっていた時はかなりの達成感がありました

とはいえ、某少年探偵のように毎回事件を華麗に解決するのは至難のワザ。そこで、本作には「カード」システムがあります。情報不足の時には「証言を引き出す」「目撃証言を引き出す」など、多様なタイプのヒントを被疑者から得ることができ、有利に推理をすることが可能になります。

ただしカードを使用するにはお金を消費するので、どの場面で誰の証言を引き出すのか、といった駆け引きも楽しく、みるみる時間が溶けていきました

しかし、不満点がないわけではありません。本作の特徴であるデッキ構築要素は、正直に言ってあまり機能していないと感じました。というのも、カードの種類は大別して3つほどなのですが、互いのカードに繋がりや相乗効果はほぼないので、デッキを組み立て戦略的に推理をしていく、といったことが出来ません。

しかも、基本カード以外は一度使うと永遠にデッキから消えてしまい、ショップで購入するか、ランダムに入手するかの2択。なので、何度も挑戦して強カードを揃えながら、自分なりの最強デッキを作り上げていくという実感は味わえず、デッキ構築ゲームの核となる要素がゲームシステムに上手く落とし込めてない印象でした。

操作方法、オプションなど

操作はキーボード/マウス、もしくはコントローラーを使用。日本語にも対応しています。その他のオプションは、音声、グラフィックなどシンプルなものです。

事件ファイル①:「トイレ殺人事件」

まずは紙芝居風の導入があります。どうやらプレイヤーは新任の「探偵死神」で、世界中の殺人犯に刑を執行するのが仕事のようです。

マス目には「通常推理」「難推理」「苦難推理」のメインステージ、「商店」「宝箱」「ランダム」などが点在し、どう進んでいくかはプレイヤー次第です。

最初の事件は「トイレ殺人」。被疑者C、B、Yの中から1人の真犯人を見つけていきます。証言は開始時にそれぞれ1つのみで、情報が足りない場合はお金を支払い「質問」カードを使用してみましょう。

これが基本的なユーザーインターフェースで、推理画面になります。プレイヤーにはHPが設定してあり、もしも誤答してしまうとペナルティを喰らいHPが減少し、ゼロになるとゲームオーバー。1問目から再度やり直しなので、慎重に推理を重ねていく必要があります。

また画面中央には、事件現場の簡易マップが表示されています。これも推理する上で重要な情報源ですが、いかんせん被疑者と部屋の位置関係が分かりづらい。そのうえ、カードを選択した時にマップと被ってしまい推理がしにくい場面もありました。Steamレビューでも、多くのプレイヤーがこうしたUIに関する不満を指摘しています。

被疑者はそれぞれ、C:「犯人はYだ」B:「私は犯人ではない」Y:「犯人はCだ」と言っていますが、これだけでは判断できません。そこで3枚ある「質問カード」でさらなる証言を引き出しますが、1人から引き出せる情報には限りがあります。まずBに質問し、矛盾があるかどうかをチェックします。

するとBは「犯人はCに決まっている」と発言。まだカードは残っているので、次はYに質問します。Yは新たに「犯人はBではない」と証言。

一旦ここで状況を整理してみましょう。Bは「自分は犯人ではなく、Cが犯人だ」、Cは「犯人はYとBだ」、Yは「犯人はCで、Bではない」と主張しています。

真犯人は必ず嘘をつき、無実の者は必ず本当のことを言う”大原則と、今回の事件の犯人は1人である、という条件に照らせし合わせてみると……真実はいつもひとつ。聡明なゲムスパ読者はもうお分かりでしょう。

(1)Cの「犯人はBとYだ」という矛盾した証言、(2)YとBの「自分たちではなく、Cが犯人だ」という一致した証言から、「C」が真犯人である可能性が高いと推測できます。そして正答すると、探偵死神による刑が執行されゲームクリアです。

クリア報酬として、お金とさまざまな効果をもつカードがランダムに手に入ります。今回は目撃証言を引き出す「遭遇」を選びました。

事件ファイル②:「書斎部屋殺人事件」

今回の殺人事件は書斎部屋で発生。被疑者はY、F、Eの3人で、この中の1人が真犯人です。

E:「犯人はFだ」F:「犯人は私ではない」と主張していますが、Yからは何の情報もないので、先程の「遭遇」を使い目撃証言を引き出します。

Yは「Eと一緒にいた」と証言しました。続いてEとFにも、質問カードでさらに情報を引き出していきます。

では証言が出揃ったので整理しましょう。E:「犯人はFで、Yと一緒にいた」F:「自分は犯人ではなく、Yと同部屋にいた」Y:「Eと一緒にいた」となっています。このケースでは、3人のうち誰と誰が一緒にいたのかを明らかにするのが、事件解決へのカギです。

つまり、EとYの主張が真実であれば、嘘をついているのはFになります。誤答ペナルティは40なので、間違えても致命傷にはなりません。自分の推理を信じ、Fを執行対象に選びます。果たして……

無事に正解!真犯人はやはり「F」でした。毎回この瞬間はドキドキしてしまいます。

さて、次の事件に進む前に寄り道してみましょう。「商店」にはカードやHP増加のアビリティ、お守りなどさまざまなアイテムが売っています。中には悪い効果を持つ「デメリットカード」と「呪いアイテム」があり、購入すると逆にお金を獲得できます。

道中には「宝箱」もあり、ランダムなアイテムが手に入ります。しかし、時には呪われたアイテムが入っている場合も……。

事件ファイル③:「物置殺人事件」

今回は「物置殺人事件」。被疑者はA、Z、Eの3人で単独犯の模様。死体は物置で発見されたという設定です。

現場は物置、書斎に分かれていています。この時点で被疑者3人のうち誰かは不明ですが、犯行現場の物置に1人、書斎に2人という位置関係。この情報を手がかりに、証言を引き出し推理していきましょう。

引き出した証言は、A:「私が犯人ではなく、Zとは同部屋にいなかった」E:「私は犯人ではなく、Zとは一緒にいなかった」Z:「私が犯人ではなく、Aと一緒にいた」。

整理すると、(1)AはZといなかった、(2)EもZといなかった、(3)ZはAと一緒だった、ということになります。(1)と(2)の証言は矛盾せず一致するので、真犯人は「Z」が正解です。


本作の良かった点は、論理的思考力を試すようなパズルを手軽に楽しめるところ。すべての事件がランダム生成されるので比較的簡単なものから難しいものまで幅広く、ちょっとした脳トレゲームとしても最適だと思います。

また、どのタイミングでカードを使い情報を引き出していくかのか、プレイヤーの判断力に任せられ、推理を重ねて正答した時は非常に達成感がありました。

しかし、機能していないデッキ構築要素や戦略性の乏しいカード要素など、ゲームシステムに関して粗が目立ってしまった印象。見づらい簡易マップや、誤答した際に「なぜ間違っていたのか」の解説がなかったり、ユーザーインターフェースも不親切だと感じてしまい、そこも惜しかった点だと思います。

スパくんのひとこと

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