諫早湾干拓めぐり国側が漁業者に払った「間接強制金」返還求めない方針示す【長崎】

諫早湾干拓の開門問題をめぐり国は1日、開門しない代わりとして漁業者に支払った「間接強制金」の返還を求めない考えを示しました。

これは農水省が、開門確定判決の原告漁業者などを対象に雲仙市で開いた説明会で明らかにしました。

この中で、農林水産省経営体育成基盤整備推進室の渡辺 一行室長は「国としては間接強制金について返還を求めることを行うことは考えていない」と述べています。

諫早湾干拓をめぐっては、国に開門を命じる判決が確定しましたが、国は期限までに開門せず、原告の漁業者に「間接強制金」約12億円を支払っていました。

一方、国が確定判決の「無効化」を求めた裁判で、最高裁が漁業者側の上告を退け、開門を義務付けた確定判決は失効、「間接強制金」についての国側の対応が焦点となっていました。

漁業者側は、支払い済みの「間接強制金」を有明海再生に活用する考えを示しています。

また今回の説明会について、国は「非開門」による有明海再生への話し合いに向けて、国の方針を説明する場と位置付けていましたが、漁業者側は改めて開門の必要性を訴えました。

島原市でノリを養殖している篠塚光信さんは「(開門して)海水の出し入れをすれば自ずと有明海がノリを始めとした海藻豊かな海に戻り、必然と魚介類の漁獲も回復する」と話しています。一方、渡辺一行室長は「開門という方法は国としてはとることができない選択肢」と話しています。

議論は平行線のままで農水省は質問に答えるための場については「検討したい」としています。

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