定額減税論議、共産党に与党が感謝?「未記載は処罰」風評…否定の答弁を小池晃氏が引き出す

国会議事堂(資料写真)

 6月から始まった所得税と住民税の定額減税を巡り広がった「給与明細に未記載なら事業者が処罰される」との風評を打ち消す国会論戦があった。国税庁をただし「罰則なし」との答弁を得たのは共産党の小池晃書記局長。「国民の不安を払拭する」(同党関係者)のが目的だが、結果として政府にとっての「名火消し」(自民議員)に。与党関係者の間では「自分たちがしなければならなかったこと」と感謝がひそかに広がっている。

 「減税額を給与明細に記載するように求めたことで事務負担が重くなり、事業者の間から悲鳴が上がっている。給与明細に定額減税額を記載しなかった場合に罰則はあるのか」

 小池氏は28日の参院財政金融委員会で実情を訴え、「処罰されるのでは」との現場の不安を引いて国税庁に冷静な対応を求めた。

 国税庁の星屋和彦次長は「個別具体的な判断になる」と前置きしたが「給与明細書の交付時には対応が間に合わず、定額減税額の記載がなされなかったような場合は基本的に罰則が適用されることはない」などと処罰は行わないとの見解を明らかにした。「不記載による処罰なし」との言質を政府側から取った格好だ。

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