「日々の暮らしでカツカツ」…民間は「平均月収38.5万円」→公務員なら「勝ち組」になれるか

(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後資金2,000万円」問題が取り沙汰されて以降、貯蓄や資産形成への意識が日本全体で高まっています。国税庁『令和4年分 民間給与実態統計調査』などの結果とともに、公務員、会社員、それぞれのお給料事情を見ていきましょう。

民間の「平均月収38.5万円」…日々の暮らしで精いっぱいだが

2022年度の『賃金構造基本統計調査』によると、日本の会社員(一般労働者)の平均月収は以下の通りです。

所定内給与額(基本給および手当等を含む):約31万1,000円

所定外給与額(残業代など):約2万2,000円

特別給与額(賞与、ボーナスなど):年平均で約62万4,000円(月に換算すると約5万2,000円)

これらを合計すると、会社員の平均月収は約38万5,000円となります。

この数字を見て「そんなに高くないな」と思う方も多いかもしれません。実際、現代の日本社会において、38.5万円の月収で日々の生活をやりくりするのは決して楽ではありません。

物価の上昇や消費税の増税により、生活費の負担は年々増加しており、特に住宅費や教育費、医療費といった大きな支出が家計を圧迫しています。

また38.5万円というのはあくまで平均であるため、若年層の収入はさらに低い傾向にあります。家庭を持つとさらに経済的な負担が増すため、月収の範囲内で生活を維持するのは容易ではないのです。

総務省統計局の『家計調査報告(家計収支編)令和4年』によれば、単身者の平均的な生活支出額は約16万円、2人以上の世帯では約31万円です。これらの支出を考慮すると、わずかな金額しか貯蓄や投資等に回せないのが現実です。

一方、公務員の給与水準について考えてみましょう。一般的に、公務員の給与は安定しているとされており、地方自治体や国家公務員の場合、定期的な昇給やボーナスが保証されています。

総務省の『令和4年 地方公務員給与実態調査』によると、最も月額平均給与が高いのは東京都で45万3,595円、最も低いのは高知県で37万5,110円です。また人事院の『令和4年 国家公務員給与等実態調査の結果』によると、国家公務員/一般行政職の平均給与は41万3,064円です。

これに加えて、公務員は健康保険や年金、育児休業制度などの福利厚生が充実しており、長期的な安定を求める人にとっては非常に魅力的な職業です。さらに景気変動に左右されにくく、解雇リスクが低いため、雇用の安定性が高いとされています。

こうした背景から、公務員を「勝ち組」と見る人も多いものです。経済的な安定性、労働環境の良さ、そして社会的な信用度が高いことから、公務員は一般的に安定した職業と見なされます。

一方で、総務省の『令和4年 地方公務員給与実態調査』によると、新規採用の若手公務員(22歳)の月収は約20万円程度であり、民間企業と同様、家計を支えるには不十分と感じることもあるでしょう。また昇進や給与の上昇が緩やかであり、民間企業のような大きな収入の変動やキャリアの柔軟性は期待できません【出典: 総務省「地方公務員給与実態調査」】。

民間企業と公務員の「大きな違い」

民間企業と公務員の大きな違いは、キャリアの柔軟性とリスク・リターンのバランスにあります。民間企業では、個人の能力や努力次第で昇進や転職の機会が多く、キャリアアップの可能性があります。

一方、公務員は長期的な安定を重視するため、キャリアの柔軟性は低い傾向にあります。また、民間企業ではリスクが高い分、高収入のチャンスもありますが、公務員はリスクが低い分、安定した収入が見込めるという特徴があります。

職業選択の際には、自分のライフスタイルやキャリアビジョンに合わせて選ぶことが重要です。

例えば、リスクを取っても高収入を目指す人は民間企業を選び、安定を求める人は公務員を選ぶ傾向があります。経済的な安定性だけでなく、自分のキャリアビジョンやライフスタイルに合った選択をすることが求められます。

これからの社会で求められるスキルや能力を見据え、柔軟な思考で職業選択を行うことが、より良い未来への鍵となります。民間企業と公務員、それぞれの利点と欠点を理解し、自分に合った職業選択をすることが、経済的な安定と充実した生活の両方を実現するために重要です。

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