「本当に悲しい人なんだな…」規則を破ってでも伊周に手を差し伸べた理由は?“公任”町田啓太が語る【光る君へ】

NHK提供

俳優の吉高由里子さんが主演する大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合・午後8時)の第22回「越前の出会い」が6月2日(日)に放送され、出演者の撮影現場からのコメントが聞ける「君かたり」が公式サイト内で更新された。今回は、藤原道長(柄本佑さん)の友人で、音曲、漢詩、和歌など文化面に秀でている藤原公任(ふじわらのきんとう)を演じている町田啓太さんのコメントを紹介する。(※読みやすいようにコメントを一部修正しております)

公任が伊周に手を差し伸べた理由

――花山院(本郷奏多さん)を襲撃するという大事件をきっかけに、大宰府(だざいふ)へ左遷され、母とも引き離された藤原伊周(ふじわらのこれちか・三浦翔平さん)。公任は伊周に母に会うことを許可するが……。

町田啓太さん(以下、町田):政権争いであったり、上り詰めていくぞみたいなところから今はシフトチェンジしていて、完全に変わっているかどうかというのは、まだやっぱり残っているものはあると思うんですけれど……。

そこから「対・人」として道長であったり斉信(ただのぶ)であったり、行成(ゆきなり)であったり、そのほかいろんな方と関わっていこう、やっぱり文芸とか管弦であったりとかそっち方面が自分的にはすごく興味があるから、そっちに進んでいこう、という頭になっている。

そんな中、公任からすると、やはりちょっと(伊周の)そういう振る舞いはいかがであろうか? みたいなところが多かった伊周があれだけ弱っていて、身なりもあれだけすさんだ姿になっていて、というところを見て、すごく本心から本当に母にただただ会いたいと。

(C)NHK

「そうだ、この人は若くして役職を得て、精神的なところが大人になる前にそういう立場になってしまったりもしたから、本当に悲しい人なんだな」という「まだ子供なんだな、中は」というのが見えましたし、公任の中では父との関係というのも自分の中でもあるんだろうなと思うので、昔、エリート街道を絶対に上っていくだろうと思っていたころの自分の姿とも重なる部分が伊周を見ていてあったんだろうなと思って、そこでなんとか自分が道長の代わりに伊周に伝えるべきことを伝えてというところだったんですけれど……。

本心からは本当に普通だったなら規則違反は好きではない人間だと思うんですけれど、そういうところではなくて、人として何か手を差し伸べてあげたい、寄り添いたいなという思いが公任の中では強まったんじゃないかな、伊周を見ていて、と思いました。葛藤ももちろんあるし、でも、温情的なところはやっぱりあふれてしまったんじゃないかなと思います。

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第22回「越前の出会い」あらすじ

敦賀の松原客館に立ち寄ったまひろ(吉高さん)と為時(岸谷五朗さん)は、宋人の朱(浩歌さん)、通事の三国(安井順平さん)らに迎えられる。浜辺に出かけたまひろは、そこで佇む周明(松下洸平さん)と出会う。その夜、国守を歓迎する宴が行われ、まひろは皆と楽しいひと時を過ごす。翌日、越前国府に到着し、大野(徳井優さん)、源光雅(玉置孝匡さん)に出迎えられるが、為時は早々に激務で体調を崩してしまう。医師として現れたのは……。

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『光る君へ』

『光る君へ』は、平安時代中期の貴族社会を舞台に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。のちの紫式部であるまひろが、藤原道長への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で「光源氏=光る君」のストーリーを紡いでゆく姿を描く。脚本を手掛けるのは、『セカンドバージン』や『知らなくていいコト』『恋する母たち』などで知られる大石静さんで、今回が2度目の大河ドラマ執筆となる。

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