「やばい、ニュースに顔が出た。帰らなくては」 タクシー運転手を銃撃で指名手配の男「これから行きます」と自分で警察へ電話 犯行翌日に福島へ逃走 知人女性から1万円借り新幹線に乗り、大宮駅で警察官に確保されていた 銃はまだ見つからず

タクシー銃撃強盗 逮捕前、警察に電話

 埼玉県川口市の路上で5月29日夜、タクシー運転手の男性(72)が男に銃撃され重傷を負った事件で、県警に強盗殺人未遂の容疑で逮捕された無職の男(68)=川口市栄町3丁目=が、指名手配されたことを知り、自ら川口署に電話をかけていたことが2日、県警への取材で分かった。県警は男が同署に出頭しようとしていたとみて、詳しい経緯を調べている。

 県警によると、男は犯行翌日の5月30日には、自身の出身地である福島県へ逃走し、福島市内の知人女性宅などを訪れていた。同31日に自身が指名手配されたことを報道で知ると、女性に「やばい、ニュースに顔が出た。帰らなくては」「出頭する」と話し、「電車代がないから貸してほしい」と女性から新幹線代として現金1万円を借り、女性の車でJR福島駅付近まで送られたという。

 31日正午過ぎにはJR大宮駅に向かう新幹線に乗車。午後1時20分ごろ、車内から携帯電話で川口署に「これから行きます」などと電話をかけていた。県警は警視庁や福島、栃木県警の捜査協力の下、大宮駅で降車した男を確保し逮捕した。

 捜査関係者によると、逮捕された時、男の所持金は3500円ほどだった。犯行後に一時帰宅し、別の服に着替えていたとみられ、逮捕された時に犯行時の服はなかった。

 事件で使用したとみられる拳銃は発見されておらず、県警は銃の所在や入手経路について捜査している。

 県警は2日、男を強盗殺人未遂の容疑でさいたま地検に送検した。

 男は5月29日午後11時半ごろ、東京都北区のJR赤羽駅付近で男性が運転するタクシーに乗車。約3キロ離れた川口市幸町に向かうように指示し、停車すると男性に「金を出せ」と脅迫。拳銃のようなものを発砲し、男性に4週間の重傷を負わせた。2人に面識はなかった。

 県警は周囲の防犯カメラやタクシーのドライブレコーダーなどから男の犯行を特定し、同容疑で逮捕状を取り全国に指名手配していた。

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