それでも日本で家を買いますか?日本人と中国人が見る不動産市場の真実―中国メディア

中国オンラインメディアの虎嗅は日本人と中国人の住居に対する意識の違いについて論じた。

中国オンラインメディアの虎嗅はこのほど、日本の不動産市場に海外からの投資ブームが起きている一方、日本人と中国人の住居に対する意識の違いについて論じる記事を掲載した。

記事は初めに、東京で不動産仲介業をしている筆者の友人から聞いた話として、多くの中国人留学生が「賃貸」ではなく、「購入」により住む所を確保していることに触れ、日本の総務省統計局の「住宅・土地統計調査」(2018年)を引用し、「東京の平均家賃は月額約8万円で、留学生が就職まで約6年間滞在すると仮定して計算すると、総額約608万7800円必要になる。この金額なら東京近郊に小さな古い家を購入する事ができる。予算を1000万~2000万円に引き上げることができれば、東京23区内にも選択肢が広がる。帰国後に売却したり、不動産業者に管理を委託して家賃収入を得ることもできる。日本の不動産価格が長期にわたって低いままで、外国人にとって不動産投資のハードルも非常に低くなっている」と述べた。一方で、東京に10年近く住んでいる日本人の友人に「なぜ家を買わないのか」と筆者が尋ねたところ、「なぜ買う必要があるの?」と返された体験談を紹介し、日本人と中国人の間に存在する不動産に対する考え方の違いについて指摘した。

記事は「バブル崩壊後にデフレに見舞われた日本では、東京の平均住宅価格が90年代初頭のピークの半分以下になるほど、不動産の資産価値が下落したため、住宅は車と同様の消費財という考えを持つ人が多くなった。また、例えば木造が22年、鉄筋コンクリートが47年のように国税庁が法定耐用年数を定めているほか、不動産を『価値を保つ土地』と『年々減価償却される建物』の両方で一つと見なすところや、国土交通省が公開している『中古住宅流通、リフォーム市場の現状』のレポートなどで『建設から20年後に価格がゼロになる』との結論が出されていることなどから、日本の不動産は本質的に価値が下がる資産と見られている」と述べた。

さらに「総務省統計局の『住宅・土地統計調査』によると、日本全国の住宅不動産所有率は61.2%で、東京は45%だという。一方の中国は、中国人民銀行の統計によると、住宅不動産所有率は96%に達しているという。日本政府はこの状況に対応するため、住宅ローンの金利を抑えたり、信用状況が良ければ頭金ゼロでのローン申請を許可したりなど、さまざまな優遇政策を実施したが、日本人の家を買う意欲は低いままだった。バブル期に家を買った人が多額のローンを完済しても、価値が下落した上に高くつく維持費に苦しむのを見てきたからだ」とする一方、「中国では家と車を所有することが成功の指標とされ、結婚にまで影響するが、日本ではそうではない。車がなくても高度に発達した公共交通機関があるため不便はなく、価値が下がりやすいリスクを冒して家を買うよりも、法律で賃借人の権利が強く保護されている賃貸を選んだ方が、結婚や育児や仕事の異動も引っ越しをするだけで対応しやすく、プレッシャーを感じずに済むからだ」と指摘したほか、「日本の不動産は購入後5年以内に売却すると税金が30%かかるが、5年以上所有するとその税率が15%に下がるほか、土地の評価額に基づき、10~55%の相続税を払う必要もある。結果として持ち家の必要性が下がっている」とも指摘した。

続いて記事は、最近の日本の不動産投資ブームの要因として、三つの点を挙げた。

一つ目は「東京の中古住宅の転売価値(RV)が過去10年でほぼ倍増したこと」で、「港区の場合、RV価格が14年の110.8%から23年には188.4%に上昇した」ほか、21年の東京の新築マンションの平均価格が6260万円に達し、90年のバブル期のピークに並んだという。このことで東京の不動産が投資対象として再び注目を集めるようになったという。

二つ目は「日本独特の住宅形態事情」で、「住宅の種類によって価格の上昇率は異なる。日本の主な住宅形態は『マンション』と『一戸建て』に大きく分けられる。人口密度が高い東京ではマンションの方が土地の価値を活用しやすく、交通の利便性や優れた耐震性、完備されたセキュリティーなど都市生活に適した特徴もあって、マンションは投資対象として注目されている。23年の首都圏新築マンションの平均価格は約8094万円で、年成長率は30.9%となっており、一戸建ての平均価格約4769万円、年成長率5.4%を上回っている」と述べた。

三つ目は「第二次安倍内閣の経済政策」で、「日本の住宅価格は13年ごろから回復傾向を見せ始めた。これは第二次安倍内閣の『3本の矢』の経済政策の影響がある。13年1月の住宅不動産価格総指数を100とすると、23年12月には137.1に達した。マンションに限ると196.2で、一戸建ては118.5だった。これにより海外投資家、特に米国や中国から短期的な転売利益を見込んだ投資が促された。家を購入する留学生も見方を変えれば小規模な投資家ともいえる」と述べた。

記事は最後に「日本の不動産市場の投資ブームの要因として、史上最低水準の円相場と超低金利が海外資金を引き寄せていること、住宅ローンの期間が30年程度のためバブル経済後に住宅ローンを組んだ世代がローンを完済したこと、安倍政権下の経済政策で日本経済が回復したことなどが挙げられる。しかし、日本銀行が8年にわたるマイナス金利政策を解除したため、住宅ローン金利が上昇し、投資環境が変化する可能性もあるため、今後の動向を注意深く見守るべきだと考える人もいる。91年のバブル経済崩壊から30年以上がたち、日本の不動産市場は再び活況を呈している。不動産投資で利益を得る者もいれば、家賃の上昇に悩む賃借人、様子を見る者やバブルの再来を懸念する者もいる」と論じた。(翻訳・編集/原邦之)

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