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テレビ朝日系木曜ドラマ『Believe-君にかける橋-』では、木村拓哉扮する土木設計家・狩山が過酷な逃走劇を繰り広げている。
愛する妻、会社の上司・部下、弁護士など、狩山を取り巻くさまざまな人間関係のなかで、一際異質なのが竹内涼真演じる刑事・黒木正興だ。
黒木は飄々とした態度とは裏腹に、事件の真相に迫るためには手段を選ばない冷酷さも見せる。何かと謎の多い黒木は、狩山の敵なのか味方なのか。竹内に本作への出演を決めたきっかけや、撮影時のエピソードについて聞いた。
主演でも助演でも変わらない感覚
――これまで撮影に臨まれてきて、手応えはいかがですか?
竹内涼真(以下、竹内):まだ撮影が始まってそれほど経っていませんが(※4月下旬インタビュー時点)、手応えはあります。演じていてすごく充実感がありますし、自分の役にとって“一番ほしいもの”というか、最終目的がイメージしやすいんです。そこに向かうためのプロセスは実際にやってみないとわからないので、それは自分へのサプライズでもありますね。やっぱり土台となる台本が素晴らしいので、その分やりがいも大きいです。
――演じる役は謎も多いキャラクターですが、向き合う際に悩むようなことはありましたか?
竹内:役作りをする上でいろいろと考えることを“悩む”というのかもしれないけど、ネガティブな意味で悩むようなことはないです。悩んだことも、プラスに捉えて全部を取り入れていく感じですね。
――では、楽しいと感じていらっしゃるところは?
竹内:結構、駆け引きをする役なんですよ。ある登場人物に対して、自分からアタックすることが多いので、そこをすごく楽しんでいます。
――現場で生まれるものを大事にしていると。
竹内:そうですね、事前に役をガチガチに決めることはないです。たとえイメージしたものがうまくできたとしても、それは自分の中にある固定概念の範囲内なので。素晴らしいキャストのみなさんと、その瞬間瞬間に何が生まれるのかを楽しみにしながら、毎日現場に行っています。
――主演作もたくさんある中で、今回のような助演の立場だからこそ感じる面白さなどはありますか?
竹内:それはいつも同じなんです。僕は、作品に出てくる登場人物はみんな自分のことを主役だと思っているだろうな、と思っていて。だから演じているときの感覚は、あまり変わらないんじゃないかなって。むしろ、“変わらない”と思って演じたほうが面白くなるのかもしれないなと。
――現場にいるときの姿勢や心持ちなども、変わらない?
竹内:変わらないですね。いや、どうだろう……自然と変わってるのかもしれない(笑)。ただ、自分の中で意識するようなことはないです。
役者を続けていく上で“信じたいもの”は“自分”
――今回は、木村拓哉さんと念願の初共演です。
竹内:ずっと心待ちにしていて、「やっとご一緒できる」という感覚です。やっぱり俳優として、木村拓哉さんはご一緒してみたい存在ですよね。なので、純粋に嬉しいです。だって木村さんのドラマ、観ていませんでしたか?
――全部観ています。
竹内:ですよね。(嬉しそうに笑みを浮かべて)でも僕、俳優なんですよ。だから、共演できるんです。もし俳優だったら、共演したいですよね?
――したいです(笑)。
竹内:その気持ちです(笑)。ただ、「ファンだから同じ作品に出たい」ということではなくて、あくまで「一緒に作品をやってみたい」という思いです。
――実際、同じチームに入ってみていかがですか?
竹内:これからもっともっと対面する機会が増えていくと思いますが、すでにすごく楽しくて、「ここからどうなるんだろう」という期待が大きいです。木村さんが本気でぶつかってくださるので、僕も気づいたら本気になっている。正直いろんな現場があるので、ときには相手に「もっと本気で来てほしい」と思うこともあるんですよ。
――人間ですからね。
竹内:そうですね。でも、木村さんは本当に本気。もちろん大先輩ですけど、すごく好きだなぁって。自分の中にあった憧れとか、想像していたものが、もうそのまんまなんです。これが、この世界の先頭で作品作りをして来られた人なんだな、と。少なからず僕も何本か主演作をやらせてもらっていますけど、やっぱりこだわりの強さだったり、どれだけの情熱を注げるか、というバロメーターが振り切ってますよね。だから、みんなが惹かれるんだと思います。
――竹内さんご自身は今30歳。先日ロサンゼルスを訪れている姿などを番組で拝見して、今まで以上にいきいきとされているように感じました。30代に入ってより楽しくなってきた、という感覚はありますか?
竹内:それはあるかもしれないです。最近は「自分が今どうしたいのか」「どういうふうに居たいのか」と、常日頃から考えるようになりました。よりスタンダードなんですよね、無理をしていないというか。なので、やっぱり楽しいんですよ。それに僕は好きな仕事をつまらないと思うことが嫌なので、いつも「どうやったら楽しめるか」を考えています。その結果、いきいきとして見えるのかな、とも思います。仕事を始めてまだ10年ちょっとですけど、自分の中で「しっくりこないな」という瞬間もあって。でも今はピントがどんどん合ってきて、僕的には「ここから」という感じです。
――演じること自体も楽しくなっている?
竹内:はい、とにかく楽しいです(笑)。演じることも、作品を作っていくプロセスも本当に面白い。いくらでもやりようはあるので、ここからさらに精度を高めていきたいです。「この10年、たくさん作品に出演されて……」と言われることもありますけど、僕からするとそんなにやっていなくて。この世界でやっていくためのチケットを得た、くらいの感覚です。俳優って、50代くらいになってからのほうが経験も重ねていて一番カッコいいじゃないですか。だから、30歳なんてまだまだですね。
――最後に、竹内さんがこれからも役者を続けていく上で“信じたいもの”を教えてください。
竹内:“自分”です。自分の厚みが増せば、より自分自身に心を寄せられるようになるだろうし、おのずと役も育っていく。俳優として「自分がどう表現したいか」が一番大事だと思うので、やっぱり“自分”を信じたいです。
(文=nakamura omame)