ガザ新停戦案、米政府が期待感を表明 ハマス応じればイスラエルも受け入れると

パレスチナ自治区ガザ地区での停戦に向けた新たな提案について、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は2日、ハマスが応じればイスラエルは受け入れるとの米政府の期待感を示した。新提案は6週間の停戦から始まる内容となっている。

ジョー・バイデン米大統領は先週、イスラエルがイスラム組織ハマスに示した3段階からなる新たな提案を明らかにした。停戦に加え、人道援助の「急増」や、戦争の恒久的終結前にイスラエル人の人質の一部とパレスチナ人囚人の交換を実現することなどが含まれている。

この提案には、イスラエル政府の一部メンバーが反対の声を上げている。

米NSCのカービー氏は2日朝の米ABCニュースの番組で、新たな停戦案をハマスが受け入れればイスラエルも「イエスと言う」であろうと、アメリカは「あらゆる期待」を抱いていると述べた。

また、「ハマスからの正式な応答を待っているところだ」とし、双方が「できるだけ早期に」新提案の第1段階の6週間の戦闘休止に入ることをアメリカは望んでいると発言。その間に「第2段階がどのようなものになるか、それをいつ開始できるか、双方は腰を落ち着けて交渉することになる」と述べた。

第2段階については、バイデン氏が先週のテレビ演説で、生存している人質全員が帰還することになるだろうとし、それには男性兵士も含まれると説明。その後に停戦は「恒久的な敵対行為の停止」に変わるとした。

カービー氏はまた、米情報機関がハマスについて、戦闘能力が低下しており、昨年10月7日にイスラエルに対して行ったような攻撃はもはや繰り返せないとみていると述べた。

「ハマスがイスラエル国民にとってもう現実的な脅威ではないと言うものではない。もちろん脅威だ」、「しかし、以前したことをする軍事的能力はない」。

イスラエル閣僚や議員らから反対の声

新たな停戦案をめぐっては、イスラエルの極右のベザレル・スモトリッチ財務相とイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相が1日、もしベンヤミン・ネタニヤフ首相が合意するなら閣僚を辞め、連立政権を崩壊させると発言。ハマスを壊滅させる前のいかなる取引にも反対だと強調した。

ネタニヤフ氏も同様に、ハマスの戦闘と統治の能力が破壊され、人質全員が解放されるまで停戦はあり得ないと主張している。

ネタニヤフ氏が率いるリクード党の有力議員ハノク・ミルウィツキー氏は2日、イスラエルの連立政権はこの停戦案に反対で一致しているとし、「まったく受け入れられない」とBBCに話した。

「イスラエル政府の算段は変わっていない。ハマスはもはやガザを支配できないし、軍事的な能力も政権を握るためのいかなる民間的な能力も持ち得ないということだ」、「これらの要求が満たされるまで、戦争は止まらない」。

ガザでは、南部ラファで戦闘が続いていおり、イスラエル軍は週末も激しい空爆を実施した。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ラファ一帯では住民らに避難の指示が出ており、36カ所ある避難所すべてが空の状態だという。

ガザでは、南部ハンユニスや中部の一部に170万人が避難していると推定されている。

モルディヴがイスラエル人の入国禁止

これとは別に、インド洋の島国モルディヴは2日、イスラエル国民の入国を禁止すると発表した。これを受けてイスラエル外務省は、自国民にモルディヴへの渡航を避けるよう呼びかけた。

昨年モルディヴを訪れたイスラエル人は約1万1000人で、モルディヴの全観光客の1%にも満たない。

(英語記事 US expects Israel will accept Gaza ceasefire plan if Hamas does

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