南アフリカで5月29日に行われた総選挙で、与党「アフリカ民族会議(ANC)」が30年前のアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃以来初めて過半数議席を失った。
シリル・ラマポーザ大統領は2日、選挙結果が厳しいものになったことを認めた。
ネルソン・マンデラ氏が黒人初の南ア大統領に就任した1994年の民主化選挙以来、ANCの支持率は常に50%を超えてきた。
しかし、汚職や失業、犯罪に対する怒りから、同党への支持は著しく低下している。
ANCの議席は今回、230議席から159議席に減少した。議会の定数は400。
ラマポーザ大統領はそれでも、この結果を民主主義の勝利と表現し、他党に共通点を見いだすよう呼びかけた。連立協議の準備を進めているとみられる。
第2党となった中道左派「民主同盟(DA)」は87議席を獲得。ANCとの連立協議には前向きだとしている。ただし、ANCが主要政策としている黒人に対する経済参加促進政策と、国民医療制度の導入には反対している。
ANCは、この2点は譲れず、交渉の対象ではないとしている。
ジェイコブ・ズマ前大統領が結成した「ウムコントゥ・ウェ・シズウェ(民族の槍、MK)」は58議席を獲得した。ANCとの協議の準備をしているものの、2018年の大統領選で争ったラマポーザ氏が党首であるうちは交渉しないとしている。
バーバラ・プレット・アッシャー・アフリカ特派員が報告する。