日本アクセス マーケ起点にビジネス拡大へデジタル活用と市場創造 「潜在需要を呼び起こす」服部社長

日本アクセスの服部真也社長は24年度の重点方針として「マーケティングを起点としてビジネス展開を強化し、デジタルを活用したソリューションの提供とともに、(買い上げ点数が減少傾向にあるなかで)潜在需要を掘り起こし新たなマーケットを創造する」と市場活性化に意欲を示した。

今期は第8次中期経営計画の総仕上げとして、卸売事業のトップライン拡大と収益力強化、フローズンマザーセンターの全国配備など重点取り組み施策の計画達成を進めるとともに、EC事業や海外でのビジネス展開など「次期中計に向けた仕掛けの1年」と語った。

同社の23年度連結業績は売上高2兆3千366億円(前期比6.3%増)、経常利益319億円(22.4%増)、当期利益213億円(22.6%増)。物流費や人件費など販管費は前期比106億円増加したが、売上総利益の増加(156億円増)によってこれを吸収し、経常利益は当初計画を大きく上回り、過去最高を更新。売上高、利益ともに総合食品卸№1を確保した。服部社長は「第8次中計で掲げたフルライン化や次世代ビジネスの拡大、収益改善施策や最適物流拠点の構築、庫内作業や配送効率化の取り組みが着実に進んだ」と総括した。

市場分野別売上高は、市販用1兆7千203億円(6.2%増)、中食3千670億円(5.8%増)、外食1千296億円(9.3%増)、ロジ事業1千908億円(2.4%減)。

業態別ではリージョナルチェーン8千213億円(6.7%増)、ナショナルチェーン3千701億円(3.1%増)、ドラッグストア1千790億円(11.5%増)、CVS5千492億円(6.2%増)、外食・デリカ3千356億円(6.3%増)、卸売業521億円(7.6%増)、その他293億円(6.9%増)。

全業態で増収だが、その中でもドラッグストアが11%増と伸長。「食品の取り扱い増加と出店増加に加え、新規取引拡大が寄与した」(同社)。中核事業の中食デリカは量販6.8%増、CVS5.4%増。人流回復と新規取引拡大で9.3%増と伸長した外食とあわせ、業務用分野の拡大も目立った。

24年度の経営方針では引き続き「変化と挑戦、そしてスピード」をテーマに、既存事業の領域拡大、フルライン化の推進(菓子・酒類・ノンフード)、外部環境の変化に対応したビジネスモデル構築(生鮮・デリカ・外食)、消費者の購買行動変化に合わせたビジネス展開(情報卸・EC)の取り組みを加速させる。

変化する消費者ニーズや物流課題の解決に向けて①デジタルを活用したソリューション提供②新たな需要の創出③社会課題の解決提案・協業――の取り組みを強化する。

データ分析やデジタルチラシなど情報卸のプラットフォームを活用したリテールソリューションサービスにより、小売業の売上拡大を支援するほか、「チン!するレストラン」や「乾麺グランプリ」などの消費者体験イベントや、チルド生酒の「チル酒」の提案など様々な販促企画で市場活性化に貢献する。

社会課題の解決・提案では、フローズンマザーセンターの全国配備を今年度中に完了予定。自社単独の取り組みにとどまらず、東北や九州などのエリアでは同業卸との協業も検討し、物流課題の解決につなげる。

24年度の定量目標は売上高2兆4千200億円(前年比3.6%増)、経常利益316億円(0.9%減)、当期利益211億円(1.3%減)を計画。物流費や電気代、人件費など約50億円程度のコスト負担増により減益予想だが、第8次中計の定量目標を上回り2年連続で経常300億円台の達成を目指す。

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