「口止め料」裁判、妻メラニア氏にとって「とてもつらい」 トランプ前大統領が米メディアに語る

ドナルド・トランプ前米大統領は2日、「不倫口止め料」の支払いをめぐって業務記録に虚偽記載をしたとして罪に問われた裁判で、34件の罪状すべてで有罪評決を受けたことについて、妻のメラニア氏にとって「非常につらい」ものだと米メディアに述べた。

ニューヨーク州地裁の陪審団は先月30日、2日間の評議の末、全員一致で前大統領を有罪とする評決に達した。アメリカの大統領経験者が刑事裁判で有罪とされたのは初めて。

今回の裁判は6週間にわたって続き、証人22人が証言した。元ポルノ映画スターのストーミー・ダニエルズ氏もその1人で、彼女と前大統領が不倫関係にあったとされることが、今回の裁判で核心となっていた。

トランプ前大統領はこの裁判は不正で政治的な動機によるものだと繰り返し訴えていた。

量刑は7月11日に言い渡される。前大統領は控訴する考えを示している。

ダニエルズ氏は法廷で、当初はトランプ氏との会食を望んでいなかったが、広報担当者に「悪いことなど起きるわけがない」と励まされたと語った。

その後、ダニエルズ氏は夕食のためにトランプ氏のスイートルームに向かった。ダニエルズ氏によると、トランプ氏はシルクのパジャマを着てダニエルズ氏を出迎えた。

また、ダニエルズ氏がバスルームに行き、出てくると、トランプ氏はボクサーパンツとTシャツだけを着てベッドに横たわっていたという。

2人はセックスをしたが、同意の下だったとダニエルズ氏は主張した。それでも、この関係に混乱したのだと証言した。

このほか、セックスの際にコンドームは使わず、雑誌でトランプ氏をたたいたと主張。さらに、トランプ氏から聞いたとして、トランプ氏と妻は別々のベッドで寝ていたとも述べた。

家族の方がつらいと

トランプ前大統領は「彼女(妻)は元気だが、彼女にとってとてもつらいことだと思う」、「いろいろな意味で、自分よりもみんな(自分の家族)の方がつらい」と述べた。

ニューヨーク州法では、トランプ前大統領が有罪評決を受けた虚偽記載の罪では最長で禁錮4年が科される可能性がある。

前大統領は米FOXニュースのインタビューで、収監される可能性を認め、自分は「それでいい」としつつ、「国民がそれに耐えられるかどうかはわからない」と述べた。

「国民がそれを受け入れるのは難しいと思う」、「ある時点で、限界が来るものだ」とした。

また、11月に実施される米大統領選挙の本選で勝利を収めることが「復讐(ふくしゅう)」になるだろうと誓った。

一方、ダニエルズ氏は先週末に公開された別のインタビューで、陪審団の評決が出るまでの早さに「驚いた」と述べていた。

有罪評決後、初めて公の場で発言したダニエルズ氏は、トランプ前大統領は「実刑判決を受け、恵まれない人々のために社会奉仕活動をすべき」だと思うと、英紙ミラーに語った。

「あるいは、女性保護施設でのサンドバッグ役を買って出るとか」と付け加えた。

有罪評決が出てもこの事案は「終わっていない」とダニエルズ氏は述べた。「私にとっては決して終わりは来ない」、「トランプは有罪かもしれないが、私はその遺産を背負って生きていかなければいけない」。

トランプ前大統領はジョージア州で、2020年の大統領選でジョー・バイデン氏に僅差で敗れた投票結果を覆すために共謀した罪で起訴されるなど、ほかに三つの刑事裁判で数十件の罪に問われている。

機密文書を違法に私邸で保管していたとして起訴された裁判では、フロリダ州連邦地裁の判事が5月、初公判を無期限に延期した。判事は、裁判の証拠に関する重大な疑問を解決せずに公判期日を設定することは「軽率」だと、理由を説明した。

(英語記事 Donald Trump says hush-money trial 'very hard' on wife Melania

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