大手百貨店/5月売上高4社そろって2割超増、インバウンド好調続く

大手百貨店4社が発表した5月の売上速報によると、三越伊勢丹前年同月比23.4%増、J.フロントリテイリング(百貨店事業合計)21.3%増、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店全店計)29.1%増、高島屋各店計(国内百貨店子会社含む)21.6%増だった。

インバウンド売上高は、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が好調で、各社そろって過去最高を更新している。

■三越伊勢丹HD(2024年3月期売上高:5364億円)
伊勢丹新宿本店店頭前年同月比27.5%増、三越日本橋本店店頭16.9%増、三越銀座店36.1%増などで、三越伊勢丹計23.4%増だった。

函館丸井今井0.9%増、仙台三越3.8%減、新潟三越伊勢丹7.9%減、静岡伊勢丹1.6%減、名古屋三越6.8%増、松山三越14.9%減など、国内グループ百貨店計は8.2%増となり、国内百貨店計は17.7%増となっている。

伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店を中心に、引き続き高付加価値商品の売上が伸びている。両本店・三越銀座店の3店舗共に11カ月連続で2018年度を上回る実績で推移している。

ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドの衣料品、ハンドバッグ、宝飾、化粧品などが好調。気温上昇に伴って夏物アイテムへの関心も高まっている。

免税売上は、国内百貨店計(既存店)で単月最高売上高を更新した4月をさらに大きく更新した。全体購買傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや財布、宝飾・時計、化粧品など高付加価値商品への関心が引き続き高いという。

■J.フロントリテイリング(2023年2月期総額売上高:1兆1519億円)
大丸松坂屋百貨店合計の売上高は前年同月比21.3%増、博多大丸、高知大丸を含めた百貨店事業の合計売上高は21.3%増だった。

5月の売上高は、休日が対前年マイナス1日であったことによるマイナス影響があったものの、ラグジュアリーブランド、化粧品などを中心に訪日外国人売上が好調。またお得意様を対象とした催事効果などもあり、外商売上が伸びた。

店舗別では、15店舗中12店舗が前年実績を上回った。名古屋店は改装により婦人服売場の面積が7割減となったが、訪日外国人売上の好調などにより対前年2桁増となった。

大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(速報値)は、名古屋店、神戸店、京都店などが高い伸び率を示し、好調店舗が全国に広がっていることなどから、対前年276.4%増(客数150.9%増、客単価50.0%増)となり、過去最高を更新している。

■エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)(2024年3月期売上高:6574億円)
百貨店事業の全店計の売上高は、前年同月比29.1%増となった。内訳は阪急本店46.1%増、阪神梅田本店8.9%増、支店計12.0%増。

ゴールデンウイーク商戦、母の日、インバウンドが好調だった。

免税売上高は前年に対して約4.0倍、阪急本店は約4.1倍と引き続き好調。同月の売上高では12カ月連続で過去最高を更新。また単月の売上高としては4ヶ月連続で過去最高を更新した。

阪急本店の売上高は、前年比で約5割増と大きく伸びている。

婦人・紳士ファッション、アクセサリーなどが人気だった。100万円以上の高額品の売上高は、前年の約7割増と引き続き高い伸びを示した。

■高島屋(2024年2月期営業収益:4661億円)
高島屋各店計は23.2%増、岡山高島屋、岐阜高島屋、高崎高島屋を含めた国内百貨店計は21.6%増だった。

国内顧客は、気温の上昇に伴いブラウス、カットソーや日傘、帽子などが堅調に推移した。

また、インバウンドは、ラグジュアリーブランドを中心とする高額品が売上高を押し上げ、単月としては3カ月連続で過去最高を更新している。

店舗別売上高は、大阪店、京都店、日本橋店、横浜店、新宿店、玉川店、大宮店、岐阜店、高崎店が前年実績を上回った。

商品別売上高(同社分類による14店舗ベース)は、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、スポーツ、リビング、美術、サービスが前年実績を超えた。

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