大きな病は、いきなり“ズドン”とやってくる! 「1日1切れの魚」で健康を守り切れ

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30代を過ぎ、40代を迎えたころから年々増え続ける、不調の数々。健康診断で指摘された、中性脂肪やコレステロール値の高さ……。いま、中高年に襲い掛かる将来の健康不安について「病気を遠ざけ、人生の質を底上げしてくれるのは、小さな健康習慣の積み重ね」と語るのは、チャンネル登録者数75万人超の人気YouTube「予防医学ch」を運営する現役医師・森勇磨先生。
『予防医学で健康不安は消せる! 100年長生き』を上梓したばかりの森先生が、中高年の突然死を防ぐ食習慣について、解説します。

※本記事は、森勇磨:著『予防医学で健康不安は消せる! 100年長生き』(小社刊)より、一部を抜粋編集したものです。

死亡リスクを劇的に下げる「食品」とは

UCLA准教授の津川友介さんは、病気のリスクを下げる健康習慣をまとめた『ヘルズ・ルールズ』の「食事」の章で、「何を食べ、何を食べるべきではないか」を端的に紹介しています。引用させてもらいましょう。

**ずばり、数多くの信頼できる研究によって健康に悪いと考えられている食品は、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない)と加工肉(ハムやソーセージなど)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。

逆に、健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と考えられている食品は、①魚、②野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。
『HEALTH RULES 病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』より**

なかでも「健康に良い食べ物の筆頭」に挙げている魚については、67万人のデータから導き出された研究結果として、魚の摂取量の多い人ほど死亡リスクが低く、1日60gの魚を食べていた人はまったく食べていない人に比べて12%死亡率が低かったことを紹介しています。スーパーなどで売られている鮭や白身魚などの切り身1切れが80g前後ですから、1日1切れで60gはクリアできます。刺身であれば、3、4切れでしょうか。それだけで死亡リスクを下げられる可能性があるのです。

中高年以降は「魚ファースト」に切り替える

循環器内科医の池谷敏郎さんも『「100年心臓」のつくり方』で、「『心臓の健康』といったらコレ!」と、EPAとDHAを挙げます。EPA、DHAは、アジ、イワシ、サバといった青魚に多く含まれる油です。

(イメージ:写真AC)

EPAは末梢血管をしなやかに開いて、血小板の活性を抑え、血流をよくしてくれる働きがあり、DHAは脳に働きかけて、うつ病や認知症の予防に役立つ可能性がある、と池谷さんは説明します。
さらに、EPA、DHAには中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きもある、とも。実際、中性脂肪値の高い人に使われる「ロトリガ」という薬の主成分は、EPAとDHAなのです。魚がいかに大事か、わかっていただけたでしょうか。

ただ、特に肉を食べたほうがいいシチュエーションとしては、貧血があるときです。肉は、鉄分の接種源としては非常に優秀。動物性食品を一切食べないビーガンの人は、爪が割れたり、白髪になって髪がパサパサになったりしやすく、その原因の一つに鉄分不足があります。
ですから、貧血の人を中心に肉も意識的に食べてほしいのですが、一般的には、中高年以降の健康を守ってくれるのは、肉よりも魚。ぜひ魚ファーストの食生活に切り替えましょう。

無理なくできる「食習慣」から取り入れる

健康法にはヒットとホームランがあります。エビデンスは“統計学的に信頼性の高い結果”であって、エビデンスのある健康法はいわば“ヒットを打てる確率が高いもの”です。一方で、自身の体調が劇的に良くなるなど、ホームランが打てるものは、実はエビデンスのないもののなかに隠れていることもあります。

といっても、まず取り入れるべきはエビデンスのある健康法と言えるでしょう。特に、体の健康を保ち、病気を防ぐ健康習慣は、豊富なエビデンスをもとに正解がだいたい決まっています(加工肉の食べ過ぎが一部のがんを増やすなど)。なおかつ、「これさえやれば大丈夫」というものではないのでヒットを積み重ねる意識が大事です。

『予防医学で健康不安は消せる! 100年長生き』では、他にも幸福長寿の秘訣が詰まった健康本ベストセラー100冊を1冊に要約してご紹介しています。
まずはご紹介した食習慣など、無理なくできそうな健康習慣をなるべく多く取り入れてもられたらうれしいです。

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予防医学で健康不安は消せる! 100年長生き
著:森勇磨

森勇磨

内科医、産業医、労働衛生コンサルタント。ウチカラクリニック代表藤田医科大学病院の救命救急病棟での勤務後、2020年2月よりYouTubeにて「予防医学ch」をスタート。登録者数は70 万人を超える(2024年3月時点)。株式会社リコーの専属産業医として、予防医学の実践を経験後、独立。法人向けの福利厚生としてのオンライン診療サービスの展開、健康経営のコンサルティングなどを通じて予防医学のさらなる普及を目指している。著書に『40歳からの予防医学』(ダイヤモンド社)、『怖いけど面白い予防医学』(世界文化社)、『認知症は予防が9割』(マガジンハウス新書)など多数。
YouTube 予防医学ch

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