猫が『泣いている人の顔をのぞき込んでくる』3つのワケ 心配して慰めに来てくれたの?

猫は人を癒そうとしている?

親しい人との別れ、大きな失敗、疲れ果ててこれ以上頑張れそうになくなったなど、人はさまざまなことが原因で、悲しくなったり落ち込んだりして涙を流すことがあります。時には特別な理由もなく、ただむしゃくしゃして涙がこぼれ、自分でも驚いたということもあるでしょう。

そんなとき、人は何かきっかけを得ることで、再び前向きな気持になれます。そして多くの愛猫家は、一緒に暮らしている猫からの慰めや励ましがきっかけになったと感じています。

いろいろな思いを抱えて一人で泣いていたら、愛猫が近づいてきて顔をのぞき込み、優しい鳴き声をかけてくれたり、ずっと傍に寄り添ってくれたり、頬を伝う涙をそっと舐めてくれたりされて、慰められたと感じている飼い主さんは決して少なくないのです。

なぜ、猫は飼い主さんが泣いていることに気付き、自ら近づいてきて顔をのぞき込むのでしょうか。

猫が「泣いている人の顔をのぞき込んでくる」ワケ

猫は、意識して人を慰めたり癒やしたりしようとしているのでしょうか。動物行動学などの専門家も、この点には興味があるようです。

最近は、犬や猫などの伴侶動物と人との関係性についての研究が盛んに行われるようになってきました。しかし、犬と比べると猫の場合は実験を行うことが難しいため、まだまだわからないことが多いです。

そのような状況ではあるものの、多くの専門家は、『猫は自らの意思で飼い主さんを慰めようとしているわけではない』と考えているようです。

そこで今回は、専門家の意見などを参考にしながら、猫が「泣いている人の顔をのぞき込んでくる」ワケについて考えてみましょう。

1.飼い主さんの様子を見て不安になった

猫が飼い主さんが涙を流しているのを見て「悲しんでいる」と思うかどうかについては、かなり疑問視されています。それどころか、人間の感情の柱である「喜・怒・哀・楽」の内、意識的な感情に当たる「哀」はなく、代わりに「喜・怒・”愛”・楽」の方が近いだろう、といわれています。

ただし、猫にとって飼い主さんは自分の親と同然の存在です。しかも、自由に外に出られるわけではない猫にとって、飼い主さんは自分の命を握っている存在でもあります。そのため、普段から猫は飼い主さんの様子をじっくりと観察しています。

そして涙を流したり深く傷ついて落ち込んだりしている様子を見て、「いつもと様子が違う」ことをすぐに察知し、その状況に対して不安を感じているのです。そのため、不安の原因となっている飼い主さんに近づき、様子を探っているのだろうと考えられています。

2.飼い主さんが人を慰めている様子を見て真似をしている

子どもは周囲の人の言動を真似することで社会に適応し、成長していきます。猫も同じです。猫が真似をするのは、身近にいる飼い主さんやそのご家族です。

もし猫が、以前飼い主さんやそのご家族が誰かを慰めている様子を見ていた場合、その時とよく似ている状況になり、真似して行動している可能性もあるだろうといわれています。この場合は、ある意味飼い主さんを慰めていると言えなくもないかもしれません。

3.涙そのものに興味を持った

猫は、人のように悲しいといった感情が原因で涙を流すことはありません。目にゴミが入ったというような生理現象として涙が出ることがほとんどで、人のように涙を流している場合は、目の病気が原因だと考えて間違いないでしょう。

そのため、飼い主さんが流している涙そのものに「この水はなんだろう?」と興味を示している可能性があります。中には、「丁度のどが渇いていたのでラッキー!」程度の気持ちで舐めているのかもしれないという意見もあります。

「猫は犬に劣らず人が大好き」という研究報告も!

言葉を話せない動物の感情を科学的に究明するのは難しいことです。そのため現状では、人間が悲しくて涙を流していることを、猫が理解できるのかどうかはわかっていません。

しかし、猫が飼い主さんにとても強い信頼を寄せ、深い愛情を抱いているという点についてはどうやら間違いがなさそうです。

猫は人が大好きで、深い愛情の絆も築けるということは、複数の研究により報告されています。いくつかをピックアップしてみると、下記のような報告がみつかります。

  • 多くの猫は、食事やおもちゃでの遊びよりも人との触れ合いを好む
  • 猫は、その人がどれだけ自分に注意を払っているかに応じて行動を変えている
  • 猫は飼い主との間に築いた絆により、その人の近くにいたいという強い欲求を持つ

まとめ

私たちは、愛猫の行動を人間と同じ目線で解釈しようとしてしまいます。しかし、もしかしたらそこには大きな誤解があるかもしれません。

ただし、それがお互いにとって「Win-Win」の結果をもたらすのであれば、その誤解を無理やり正す必要はないのかもしれません。

その代わり、愛猫からもらった癒やしを、私たちも愛猫に返してあげる努力はしたいものですね!

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