どんぐり保育園なのにドングリの木がない 「うちにあるから持って行くよ」 ドングリから育てた苗をプレゼント

宮城幸也園長(後列左)にマテバシイの苗を贈った山内源徳さん(前列左)=5月18日、南城市玉城富里・どんぐり保育園

 【南城】南城市玉城富里に開園して約10年になる「どんぐり保育園」は、「ドングリの木が生えているんですか」と保護者から聞かれる。園から少し行った所になら生えているみたいなんですが、と宮城幸也園長(62)は苦笑する。それが5月18日、名実共に「どんぐり保育園」に生まれ変わった。トレッキングが趣味という読谷村の男性が、マテバシイの苗をプレゼントしてくれたからだ。(南部報道部・平島夏実)

 南城市内で県が第74回植樹祭を開いたこの日、読谷村の山内源徳さん(77)が軽トラックで園に乗り付けた。約20年前に「読谷野山トレッキング会」を立ち上げ、今も県内各地の山を歩く。会のメンバーで同園職員の渡慶次ゆき子さん(66)から「どんぐり保育園なのにドングリの木がない」と聞き、「それならうちにあるから持って行くよ」と即答した。

 贈った苗は高さ約2メートル。「時季によってはドングリの争奪戦になる」という読谷村内の隠れスポットでマテバシイの実を拾い、鉢植えにして約10年育ててきた。おととしから花を付けるようになり、今秋には実がなるかもしれないという。

 マテバシイの実は縦長で長さ2センチほど。数あるドングリの中では中程度の大きさだと山内さんは説明する。樹木そのものも、首里城正殿の梁(はり)に使われるオキナワウラジロガシのようには大きくならないため、園庭に程よい日陰が期待できる。

 「ドングリがなったら、最初の1個はこまにしたいね」と渡慶次さん。宮城園長も「いいね。何と言ってもうちのシンボルの木だからね」とうなずく。

 園名には、小さくてもいろいろな形をしているドングリのように、子どもたちに自由に育ってほしいという願いが込められている。

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