【能登半島地震|被災から5カ月】新潟市で液状化の爪痕といまだ続く住民の苦悩【新潟】

能登半島地震|被災から5カ月

能登半島地震から5カ月が過ぎました。新潟市では住宅被害が1万7000棟を超え、いまだ多くの人が液状化の被害に悩まされています。被災地の今を取材しました。

■岡拓哉アナウンサー
「新潟市西区善久地区は、5カ月がたった今も道路の隆起など液状化の爪痕が色濃く残ります。いま作業車が止まっているお宅では家を持ち上げて地盤を改良する工事が6月3日から行われているということです。住民によるとこの区画一帯で半数の人が自宅を離れているということでコミュニティがなくなってしまうのではと心配の声が上がります。」

新潟市西区の善久地区。もともと信濃川が流れていた「旧河道」にあることが、液状化の被害を拡大させたとみられています。

■土居義和さん
「(岡:この辺少し道路も舗装されたり…)パッチを当ててね。(岡:ところどころ舗装されて)どうしてものところの穴をふさいでいるだけで全部やり直さないとだめだわね。」

善久で約40年暮らす土居義和さん。この5カ月で同じ地区の10軒以上が引っ越したそうです。
■土居義和さん
「(岡:このあたりも住まわれていない?)正月からいない。これも解体、これも解体。でオレのうちは白い家。(岡:向こう側に傾いて…)裏の家と屋根がくっついている。」

液状化で自宅は傾き屋根が隣の家と接しています。土居さんは築35年になる我が家を解体することを決めました。
■土居義和さん
「暗いし、人が歯抜けのように近所いないから、なるべく夕方になると電気をつけるようにしている。」

今後は妻と、近くに住む娘夫婦の家に引っ越す予定です。
■土居義和さん
「(岡:解体の決断も苦渋…)まだ半々ですよ。申し込んだけどね。しょうがない、年だから。直したところでまたいつ来るかわからないから。こればっかりはわからない。」

こちらは西区の寺尾地区にあるホテル。液状化の被害を受けた別館の改修が一部終了し、30ある客室の8割が使えるようになりました。
■ホテル寺尾 勝島猛さん
「下から持ち上げてる。色が違うのは壁紙を張り替えた。まだね、(岡:ドアが開きづらいんですね)このくらいは我慢してもらおうかなって…。」

寺尾地区は地盤が砂地で地下水の水位が高く、液状化しやすいとされています。駐車場の工事をしている時、その特徴を実感する出来事がありました。
■ホテル寺尾 勝島猛さん
「(岡:擁壁も堅め直した?)そうなんですよ。そしたらここから地下水が、きれいな地下水がゴーゴー出てくる。いや~こんなに出るんだって…改めて思った。」

創業から36年間使ってきた本館は、悩んだ末、建て替えを決めました。
■ホテル寺尾 勝島猛さん
「90歳の母が、創業者の父(去年逝去)と母がやるといってね。私は正直言うとやれる範囲でいいかなと思っていたがやるといったのでじゃあやろうと。」

当初の罹災証明の判定は「一部損壊」、再調査を受けたところ判定が「中規模半壊」になりました。
■ホテル寺尾 勝島猛さん
「中規模半壊なので少しは補助金が出ますし、頑張ればもう少し大きいなりわい補助金が出るかなと。1歩2歩前進した気分でいる。」

これまでに切り崩した貯金は約2500万円。本館の建て替えには6000万円以上かかる見通しです。
■ホテル寺尾 勝島猛さん
「ホテル寺尾という名前が残っていけば返していけるでしょう。幸い6月3日も含めてずっと長期連泊のお客様がまだ1~2年繰り返しくるよと言ってくれたので、じゃあ頑張ればやれるかなとは思っている。」

再び安心を取り戻せるのか、被災者の苦悩は続いています。

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