君は「幻のワールド9」を見たか? 超激ムズで大苦戦『スーパーマリオ2』を振り返る

『スーパーマリオブラザーズ2』任天堂公式サイトより (C)Nintendo

1985年9月13日に発売されたゲーム『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)の大ヒットが、ファミリーコンピュータの躍進に一役かったことは誰もが知るところです。そんな大ヒット作の続編ということで多くの注目と期待を集め、約1年後、今から38年前となる1986年6月3日に発売された『スーパーマリオブラザーズ2』は、それはもう強烈な難易度をひっさげて私たちの前に現れたのでした。

■ディスク書き換え数No.1のヒット作! マリオのほかにルイージも使用可能に!

ファミコンディスクシステム用ソフトとして発売された『スーパーマリオブラザーズ2』。ディスクシステムは、カセットの代わりにディスクカードを使用して遊ぶ周辺機器。遊び終わったディスクカードは、ゲームショップやデパートのゲーム売り場などに置いてあった「ディスクライター」を通して、わずか500円前後で新作ゲームに書き換えられるという、子どもたちにとっては夢のようなシステムでした。

そして、同作はディスクライターでの累計書き換え回数第1位を記録したタイトルでもありました。ゲーム内容は『スーパーマリオブラザーズ』を踏襲した横スクロールのアクションゲーム。操作できるキャラクターはマリオに加え、マリオより高くジャンプすることができるルイージを選べるようになりました。しかしルイージは、ダッシュ時の初動が遅く、すぐに止まれず滑るような操作感で、かなりピーキーな性能。新しい性能と聞いてルイージを使ってみて、そのピーキーすぎる挙動に使用を諦めたのは筆者だけではないと思います。

■イジワルなステージ構成に加えて、毒キノコや追い風などのギミックがキッズを襲う!!

前作を踏襲したアクションとはいっても、そのムズさはケタ違い。同作は『スーパーマリオブラザーズ』の高難易度版であることがウリのタイトルであり、ゲーム開始からすぐ、1―1の序盤に無限1UPできる地形があることからして、「ここでマリオを増やさないと、ロクに先に進めないぞ」と警告されているかのよう。

コース設計が前作とは比べものにならないほど難易度が高いのに加え、吹く風の方向にキャラクターを押し出す強風、画面外までジャンプできるスーパージャンプ台、前のワールドに戻されてしまう逆ワープゾーン、取ってしまうとダメージを受ける毒キノコなどのギミックも追加。うまく使えば攻略に役立つギミックもありますが、敵の配置も地形以上に厳しくなっているので、気が抜けません。

筆者は当時、まだディスクシステムを持っておらず、『スーパーマリオブラザーズ2』を書き換えた友人宅で初めて触らせてもらいましたが、初見の感想は「難しすぎる!!」でした。

ルイージは操作しづらいし、ワールド1はなんとかなりましたが、それでもゲッソーが空を飛んでいたり、高さの違う土管から断続的にパックンフラワーが出てきたりと序盤からかなりやっかいで、友人と交代してプレイしてもゲームクリアどころではないありさまでした。ディスクシステム購入後、ディスクカードを借りて改めて遊んでみましたが、それでもたいして先に進めずクリアを断念した覚えがあります。

■全ワールドクリアでワールド9に突入!? バグ技が現実になった!……けど行けなかったあの頃

そんな『スーパーマリオブラザーズ2』に“裏ワールド”があったことを知っている人は、どれだけいるでしょうか。裏ワールドは「ワールド9」と「ワールドA〜D」の2種類。

特にワールド9は、当時大きな話題となった『スーパーマリオブラザーズ』の裏技……というか電源を入れたまま『テニス』(任天堂)のカセットと差し替えるという危険なバグ技を使うことで出現するといわれたワールドが、公式に再現(?)されたものなのです。

この「ワールド9」は「ワールド1-1」から「8-4」までワープを使わずに全ステージをクリアすることで行くことが可能。「ワールドA〜D」は「8−4」を8回クリアして、タイトル画面に「★」を8個並べることで行けます。

説明書にもその行き方がほのめかされてますが、どちらにしても難度高すぎな条件。筆者はもちろん、裏ワールドに到達できた友人は誰ひとりとしていませんでした。前作と違ってコンティニューは標準装備されてますが、ディスクならではのセーブ機能はなし。であるにも関わらず説明書には「コンティニューを使わないで挑戦してみてください」なんて書いてあったりして、どんだけプレイヤーを煽ってるんだ……と思ったものです。

実際の裏ワールドはどのようなものかというと、ワールド9は通常の地上マップの配置を使用した水中面だったり、不可解なブロック配置の城マップだったりと、やはり前作の「バグ面」を意識した作り。「9-1」開始時やゲームオーバー時にはスタッフからプレイヤーへのメッセージがあったり、「9-4」では「アリガトウ!」という形にブロックは配置がされていたりと、当時ここに到達した子どもは、ゲームからの予期せぬプレゼントに大興奮したに違いないでしょう。一方のワールドA〜Dは、『スーパーマリオ2』をクリアした人に向けた、さらなる高難度ステージとなっています。

■いま遊んでもやっぱり難しい! 『マリオ』シリーズ最難関のゲームでは?

カセットとして発売されなかった本作ですが、『Nintendo Switch Online』でオリジナル版やスーパーファミコンの移植版が遊べるため、意外にもプレイできる環境が整ってます。セーブもできるし、クリアしやすくなった……と久しぶりに遊んでみましたが、年月とともに失った自分の反応速度のためか、やっぱり相当骨が折れました。現在の“死にゲー”もかくやというほど、シリーズ最難関と思えるほどの難しさなので、腕自慢の人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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