「立憲主義を軽視」 自民草案と育鵬社教科書

 改憲勢力が3分の2に達するか否かが争点となる参院選が迫る中、「憲法改正問題と教育」について考える集いが18日、藤沢市のJR辻堂駅前のビルで開かれた。「憲法カフェ」の取り組みで知られる太田啓子弁護士が講演し、自民党憲法改正草案と育鵬社公民教科書について「同じ発想で作られている」と指摘。立憲主義軽視への危機感を訴えた。

 藤沢市と横浜市の市立中学校では、保守色の強い育鵬社歴史・公民教科書が使用されている。教科書問題への理解を深めてもらおうと、市民グループ「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」が企画。市民や教諭ら約120人が参加した。

 太田弁護士は立憲主義について、「国家権力の乱用を防ぎ、個人の権利を守ること」と解説。改憲草案前文と育鵬社教科書では伝統文化や国の理想が強調され、国家権力を縛るという原則を軽視する「独特な憲法観」と指摘した。

 改憲論議については「安倍晋三首相は在任中の2018年9月までの改憲に意欲を示しており、現実味が増している。政権としては改憲草案に親和的な人を増やしたいだろうし、同じ流れの中で教科書も作られている」とした上で、「緊急事態条項をはじめとして、何が改憲しやすいテーマかを模索している今の改憲論議は問題。だまされないでください」と強調した。

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