定額減税のスタートで給与担当者はてんてこ舞い 識者は消費上がっておらず「税金の無駄遣い」と指摘

テレビ愛知

5月末に国税庁が開いた定額減税の企業向け説明会。県内企業の人事担当者ら22人が参加しました。同様の説明会は3月末から開かれていて満席になる回も。複雑な仕組みなだけに、参加者は熱心にメモを取ります。

学校関係:
「決算や役員会が終わってこの日になった。正直大変ですね、この時期に…」

運送会社:
「詳しい内容がわからなかった。一度話を聞きたいと思って来た。期間がないので、始まるまでに。うちみたいな零細企業でも手間はかかると思います」

電子部品や半導体などを扱うこちらの会社はボーナスの支払い日が6月5日で定額減税の本番間近。間違いがないようにと追い込み作業が進んでいました。

給与支払いの担当者:
「5月の給料が終わってから対応しないといけないのでスケジュールはタイトでしたね。1週間以内とか。ギリギリですね…」

給与明細を見せてもらうと、「減税」の文字が…

給与関係の担当者:
「今回のこの方の(所得税減税の)合計額。3人分(9万円)ですね」

システムの改修費用はかかりませんでしたが、社員約280人分の扶養家族の状況などは、担当者が直接確認作業を行ったといいます。

給与関係の担当者:
「ここまで全面的に会社に任されるのは初めて。前みたいに10万円ばらまきにしてくれれば」

「個人消費がもどってくるというのは難しい」複雑な仕組みで効果は限定的か

企業の苦労に見合うだけの「経済効果」はあるのか、野村総合研究所の木内登英さんに話を聞きました。

野村総合研究所 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト:
「2024年の6月から減税されるとわかったら、その前から消費行動が変わってくるはず。ところが消費行動は弱くて、4月・5月をみても、むしろ悪化の度合いが強まっている。さらに円安によって先々もっと物価が上がると個人が思っているので、6月からの減税だけで低迷している個人消費がもどってくるというのは難しい」

さらに複雑な仕組みが、定額減税の効果にブレーキをかけていると言います。

野村総合研究所 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト:
「事務の負担が大きくなる。またあまりにも複雑で、自分がいくらもらえるかわからないのは効果を削いでいる。結果的には政治色の強い政策となったが、使っているのは国民のお金なので、国民のお金を無駄に使っているという印象」

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