広島ドラゴンフライズがB1初優勝! 主将・朝山正悟「最高の景色で(現役を)終われる、最高です!」

Bリーグの年間王者を決める「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」が、5月25日から横浜アリーナで行われた。チャンピオンシップ(CS)のトーナメントを勝ち上がってきたのは、連覇を狙う琉球ゴールデンキングスと、ワイルドカードでCSに出場した広島ドラゴンフライズ。ファイナルでは初の西地区同士の対戦となった。2戦先勝方式の決着は5月28日のGAME3までもつれこみ、最後は広島が65-50で琉球を下しB1初優勝! 今シーズン限りでの引退を宣言していた広島の主将・朝山正悟選手にとって最高の花道となった。激戦の3日間を振り返る。

5月25日に行われたGAME1。この日は広島の要、ドウェイン・エバンス選手の調子がなかなか上がらない。一方琉球は、岸本隆一選手、今村佳太選手、そして松脇圭志選手らが要所で3ポイントシュートを決め、前シーズンの王者らしい落ち着いた試合運びを見せた。そんな中、第4クォーターでは広島の河田チリジ選手がアグレッシブなプレーで反撃。気迫あふれるプレーで広島を鼓舞し、一時8点差まで縮める猛追を見せるも、この日は74-62で琉球が勝利した。

試合後、今村選手は「誰が(試合に)出ても活躍していますし、誰が出てもディフェンスの強度が落ちないので、今日はキングスらしい試合ができたことが自信につながったと思います」と試合を振り返り、「今日と同じメンタリティーで、迎え撃つのではなく(勝利を)奪い取るつもりで試合に臨みたいと思います」とGAME2へ気を引き締めた。

5月26日のGAME2。会場は両チームのブースターで超満員、13203人が駆けつけた。後がない広島は、スターティングメンバーもGAME1とは変え、ケリー・ブラックシアー・ジュニア選手、河田選手を入れ、第1クォーターから21-14と琉球を突き放しにかかる。しかし第2クォーターでは琉球が岸本選手のレイアップやヴィック・ロー選手の3ポイントシュートで逆転、30-34で前半を折り返した。なかなか点差の開かないシーソーゲームも、第4クォーターに広島が山崎稜選手らの3ポイントシュートで点差を広げ、72-63で勝利。1勝1敗のタイとし、優勝の行方はGAME3へともつれこんだ。

采配が的中したカイル・ミリングHCは「タフなバトルだった。(今日は)昨日の後半のようなプレーを、前半から出していけたと思います。昨日はディフェンスのミスからの失点が多々ありました。今日はそのミスをしっかりとなくすことを目標にしていたので、その効果が出ていたと思います」と試合結果を分析した。

26日の試合前には、B.Hope ACTION「With 能登 SPECIAL GAME」が行われ、能登地域の中学バスケ部30名(男子16名、女子14名)とゲスト選手として横浜ビー・コルセアーズの森井健太選手と松崎裕樹選手が参加した。

「PEOPLE(人類)」「PEACE(平和)」「PLANET(地球)」3つの領域で、クラブ・選手・ファン・地域・パートナー企業の方々を巻き込んで、バスケやスポーツの力で社会が直面する問題に取り組んでいるB.Hope。その活動の一環「With能登」として、今回は被災地のバスケファミリーである競技者の子供たちを「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」に招待。震災から約半年が経ったタイミングで復興への想いの共有や、被災地への継続的な支援の必要性を社会へ訴えること。そして子供たちの成長につながるきっかけの場にすることを目的とし、B.LEAGUE選手とコーチから直接スキル指導を受ける“バスケットボールクリニック”(25日開催)と参加中学生が白と黒の2チームに分かれて、メインコートでの前座試合を行った。

試合を終えた男子主将(白)・端統司さんは「緊張したけど、いつもとは違う雰囲気で楽しくプレーができたのでよかった。いろんな方のサポートでこのイベントを開催してくれていることに感謝します。ちょっとでも恩返しできるように頑張りたいと思います」とコメント。もう一人の男子主将(黒)・加川琉輝さんは「ファイナルを見られる楽しみとゲームをする緊張があったので、楽しみと緊張でごちゃごちゃになっていました。シュートが1本も入らなくて悔しいなと思ったけど、それ以外のディフェンスとかではハードにいけたのでよかったと思います。今日は最高でした!」と笑顔で語った。

また、松崎選手は「子供たちが元気にプレーしてくれていたのは、僕自身も元気をもらえたし、幸せな時間だった。僕たちが何も言うことがないくらい、みんな楽しんでバスケットボールをやってくれて、自分たちも頑張ろうという気持ちをもらいました。地震で自由にバスケットボールができない状況になってしまったと思うけど、今日のように大きな舞台で楽しい経験に変えられるのは素晴らしいことだと思うので、開催してくれた方々に感謝の気持ちを伝えたい」とコメント。

石川県出身の森井選手は「子供たちからパワーをもらいましたし、本当にたくさんの方々への感謝の気持ちを自分自身も強く感じられた、素晴らしい企画になったんじゃないかなと思っています。まだバスケットができないような環境だったり、普通の生活もなかなか厳しい状況の地域がまだまだあるというのが現状だと思うので、支援やチャリティーイベントを今年だけじゃなくて、継続的にやっていかなきゃいけない。そして何より僕の活躍で勇気や元気、パワーを与えられるよう、選手としても人としても成長していきたいなと思います」と力強く語った。

中1日をはさんだ5月28日、優勝を決める最終戦。この日は、広島の強固なスイッチングディフェンス、ゴール下を制するリバウンド、素早いパス回し、そして3ポイントシュートの精度の高さが琉球を圧倒。全クォーターで琉球のリードを許すことなく、65-50で初優勝を飾った。B2からB1に昇格して4シーズン目で広島が頂点に昇りつめた。

この日も司令塔として活躍し、ファイナル賞に選ばれた中村拓人選手は「僕たちの強みはディフェンスだったので、40分間常にディフェンスし続けることを意識してきて、自信を持ってやれていました。それが最高の形で得点につながったと思います」と勝利の要因を分析。

また、CSでは驚異の3ポイント成功率でチームを支え続けファイナルMVPに輝いた山崎選手は、「リーグ開幕の名古屋D戦では3ポイントが決まらず、ファンをがっかりさせてしまいました。やり続けるしかないと思い、シーズン終盤、CSが見える位置にきた頃には、チームケミストリーがすごくいいものになっていて、選手それぞれがチームのことを信じていました。信じる力が優勝につながったと思います」と胸を張った。

そして今シーズンを最後に引退する広島のレジェンド・朝山選手は、試合後やり切った笑顔で「自分が競技を始めたこの地(神奈川県)で(現役を)終わるというのは感慨深いものがありました。最後の最後の日までバスケがやれて、最高の景色で終われるというのは、最高のことだと思います。仲間たちと、一緒に戦い支えてくれたブースターの皆さんに感謝したいです」と感動を語った。

優勝を決めた広島の選手たちは試合後、横浜市内のホテルに移動。朝山キャプテンの号令とともに、歓喜のシャンパンファイトで再び喜びを爆発させた。
エバンス選手「パーティーしましょう!」
中村選手「(試合のようには)コントロールできません(笑)」
寺嶋良選手「苦しい思いをした分、うれしさも倍増です」
アイザイア・マーフィー選手「いつも応援してくれてありがとう!納豆ご飯が大好きです!」
朝山選手「(本当に引退するんですか?という質問に)もう、ゆっくりさせてよ!(笑)」

用意されたシャンパン100本とビール800本はあっという間になくなり、最後はミリングHCの「日々努力して、いいチームになりました。私たちはチャンピオン!」という言葉で歓喜の宴は幕を閉じた。

広島の下克上という劇的な初優勝で締めくくった2023-24シーズン。来季は、越谷アルファーズ、滋賀レイクスがB1に昇格し、さらなる戦国時代の到来が予想される。秋から開幕する2024-25シーズンも、Bリーグから目が離せない。

●2024‐25シーズンのB1・B2所属クラブ
【B1】 24クラブ
東地区:北海道、仙台、秋田、茨城、宇都宮、群馬、☆越谷、千葉 J
中地区:A 東京、SR 渋谷、川崎、横浜 BC、三遠、三河、FE 名古屋、名古屋 D
西地区:☆滋賀、京都、大阪、島根、広島、佐賀、長崎、琉球
【B2】 14クラブ
東地区:青森、山形、福島、A 千葉、★富山、☆福井、★信州
西地区:静岡、神戸、奈良、愛媛、福岡、熊本、☆鹿児島

(☆印:昇格クラブ ★印:降格クラブ)

【バスケットボール男子日本代表 試合予定】

日本生命カップ 2024 (北海道大会)
バスケットボール男子日本代表国際強化試合
<GAME 1>6月22日 午後1:30(ティップオフ予定)
AKATSUKIJAPAN 男子日本代表 vs 男子オーストラリア代表
<GAME 2>6月23日 午後3:00(ティップオフ予定)
AKATSUKIJAPAN 男子日本代表 vs 男子オーストラリア代表

SoftBank CUP 2024 (東京大会)
バスケットボール男子日本代表国際強化試合
<GAME 1>7月5日 午後7:00(ティップオフ予定)
AKATSUKI JAPAN 男子日本代表 vs 男子韓国代表
<GAME 2>7月7日 午後7:30(ティップオフ予定)
AKATSUKI JAPAN 男子日本代表 vs 男子韓国代表

バスケットLIVE(https://basketball.mb.softbank.jp/)では、全試合配信。

パリオリンピック男子グループフェーズ
7月27日 AKATSUKI JAPAN 男子日本代表vsドイツ
7月30日 AKATSUKI JAPAN 男子日本代表vsフランス
8月2日 AKATSUKI JAPAN 男子日本代表vs OQT(ラトビア開催)
※準々決勝は8月6日、準決勝は8月8日、決勝戦および3位決定戦は8月10日に開催予定。

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