「生き物がメインなので…」水族館は節電厳しく“苦渋の値上げ” 電気代高騰にレジャー施設も苦境

メ~テレ(名古屋テレビ)

6月使用分からの電気代の値上がり。苦しいのは家計だけではありません。愛知県のレジャー施設では”節電”したくてもできない事情があるようです。

6月の使用分から、また値上がりする電気代。 中部電力ミライズによりますと、一般家庭の平均モデルで、5月使用分と比べて約350円上がります。 影響は一般家庭だけではありません。愛知県蒲郡市にある「竹島水族館」。国内有数の深海生物の展示数を誇る人気施設です。 4月にリニューアルオープンしたばかりですが、出口のところには募金箱が設置されています。“いきものたちのご飯のため”“電気代高騰”のためと書いてあります。 「竹島水族館」は、エサ代や電気代の高騰を受け、4月に市外からの観光客の入館料を900円に。「400円」値上げしました。水族館としても苦渋の決断だったといいます。 「水族館の場合、生き物がメインになので、節約ができない。かなり影響が出ている」(竹島水族館 戸舘真人 副館長)

「子どもの料金だけは絶対あげたくない」

例えばこの深海魚が暮らす水槽。水温は24時間、12℃に保たれているといいます。 「この水を冷やすのにも電気代がかかる。これから夏になるのでかなり厳しい戦い」(戸舘真人 副館長) 「竹島水族館」では、照明を電力消費の少ないLEDにする、職員の部屋は冷暖房を控えめにするなど小さいながらも工夫をして、節約に努めています。 秋には、さらに、展示スペースが拡大される予定で、現在、その工事が行われています。建設にかかる費用の一部は、クラウドファンディングを利用しました。 「みなさんの支援をいただき、無事に成功したので、これからいい施設を作っていこうというところ。面積的には倍になる。かなり負担が大きくなる。今年の秋にまた料金をどうしようかの検討もしている」(戸舘真人 副館長) 秋に再度、値上げを検討するほど、逼迫していますが、戸舘さんは子どものために努力は続けていくと話します。 「子どもの料金だけは絶対あげたくないなとは思っているので、大人の人に負担をしてもらうかもしれない」(戸舘真人 副館長)

動物園の運営にも影響が

愛知県の豊橋総合動植物公園、通称「のんほいパーク」では―― 「ペンギンたちの健康を守る、健康を管理するためには10℃以下に保たないといけないので。電気代が高くなっても温度を上げるってわけにはいかないので」(のんほいパーク 獣医師 吉川雅己さん) エサ代や燃料費などの高騰が動物園の運営に重くのしかかる中、園はこんな取り組みで、エサ代を”節約”しているようで―― 「基本的にアジが食べられる動物は、すべてアジでえさを組み立てている。ペンギン、ゴマフアザラシ、ホッキョクグマ、コツメカワウソなどがアジを食べている。(えさを一つにすることでそのコストを減らしている?)大量に買うことで安く仕入れることができる。いろんなものを食べることが動物たちにとっていいことだとはわかっているが…」(吉川雅己さん)

「のんほいパーク」電気代は据え置きで契約

一方、電気代の”節約”には、限界がありますが―― 「こちらがカーポート型の太陽光パネルを設置したものになる」(豊橋市ゼロカーボンシティ 推進課 大塚英之さん) 「のんほいパーク」では、CO2削減のため、4月から太陽光で発電した電気を、自家消費しています。 電気の料金は業者に支払うしくみです。ただ、20年間の「電気代据え置き」で契約をしていたことから、結果的に、今回の「値上がりの波」には飲まれなかったといいます。 Q.値上げの波、正直ラッキー 「結果的にはそうですね。20年間同じ料金で支払うので今みたいに高騰していくと結果的に私共がお支払いする金額のほうが安く抑えられるということが生じる」(大塚英之さん) Q.こういった取り組みで少しずつ節約 「それが目的ではないですけど、結果的にそういう効果が期待できるかなと思う」(大塚英之さん) 負担が増えるなか、少しでも、コストを抑えようと、試行錯誤の日々が続きます。

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