![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1170461797160108702/origin_1.jpg)
新卒採用において、優秀な学生を獲得しようと、多くの企業が初任給を引上げ。他社が上げるなら我が社はそれ以上に……そんな熾烈な競争が繰り広げられています。一方で企業としても全世代で給与を引き上げるほどの余裕はなく、一部の人にしわ寄せが……みていきましょう。
2024年の新卒初任給…2007年以降、最大の伸び率を記録(連合調べ)
日本労働組合総連合会(連合)による『2024春季生活闘争 中間まとめ』によると、「人材確保のために初任給を大幅に引き上げる傾向にある」といいます。
傘下労働組合の企業側回答をまとめたところによると、大卒事務技術職において初任給の増加率は、平均5.68%(1万2,301円増)だといいます。これはデータを公表している2007年以降、最大の伸び率だとか。
業種別で最も大きかったのは、飲食店などを含む「サービス・ホテル」。改定前21.75万円から24万円と、10.34%の上昇。「製造業」は5.74%、百貨店やスーパーなどの「商業流通」は5.18%、「情報・出版」は3.04%上昇しました。
企業規模別にみていくと、「従業員数1,000人以上」で6.43%、「従業員300~999人」で5.68%、「従業員100~299人」は5.39%、「従業員99人以下」では4.43%の上昇でした。
また厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大学新規学卒者の平均月収は24.03万円。「従業員1,000人以上」で24.57万円、「従業員100~999人」で23.80万円、「従業員10~99人」で22.98万円。そんな給与が、その後、どのように増減していくかをみていくと、企業規模により月収では最大13万円程度、年収で最大300万円程度の差が生じるようになります。
【年齢別・大企業と中小企業の月収と年収の推移】
20~24歳:24.7万円(370.3万円)/23.6万円(328.6万円)
25~29歳:29.2万円(518.2万円)/27.2万円(409.6万円)
30~34歳:35.3万円(626.5万円)/30.2万円(466.8万円)
35~39歳:41.4万円(753.4万円)/34.0万円(528.9万円)
40~44歳:46.7万円(810.0万円)/37.7万円(582.3万円)
45~49歳:50.8万円(882.2万円)/42.2万円(652.6万円)
50~54歳:56.8万円(988.8万円)/43.1万円(653.0万円)
55~59歳:58.3万円(1,009.7万円)/45.2万円(676.5万円)
60~64歳:48.7万円(801.2万円)/39.4万円(578.1万円)
※数値左より、大企業平均月収(年収)/中小企業平均月収(年収)
今回、連合の調査では大企業と中小企業で2ポイント程度の差が生じました。これにより、ますます大手と中小で給与格差が広がる可能性も指摘されています。カギを握るのは、大手の賃上げの流れが、中小にもさらに広がっていくのか……注目です。
新卒社員の「大幅な給与の引上げ」の一方で、割を食う世代も
この賃上げの流れの中で、いきなりの給与アップという嬉しいサプライズのあった新卒新入社員。そのようななか、「新入社員の初任給があがりほぼ差のなくなった30歳前後の中堅若手が、モチベ低下で次々と退職をしている」という報告がさまざまに上がっています。
――やっと仕事を覚えて、活躍が期待されていたときだったのに
優秀な新卒を獲得した犠牲なのか、まさにこれからという人材の流出を許してしまった企業も珍しくはないようです。
一方で「他にいくという選択肢のある若手は羨ましい」と肩を落とすのは、大企業で中堅どころとして活躍する46歳サラリーマン。
なんでも、優秀な人材を確保するために新卒新入社員の給与を大幅引き上げ。さらに中堅若手の不満解消のために、査定ポイントをあげ昇給しやすいように評価制度が変更になったとか。ただそのしわ寄せがあったのが、40代くらいの中堅社員だったといいます。
――評価ポイントが引き下げられて給与が上がりづらくなった
――他世代は賃上げの恩恵を受けているのに、なぜ我々、氷河期世代はすべての負の影響を被るのか
――企業側は、ずっと我々を舐めきっている……ふざけるな! と声を大にして言いたい
前出の厚生労働省の調査によると、46歳大企業勤務のサラリーマンの平均給与は、月収50.8万円、年収で882.2万円。40~50代前半の氷河期世代は毎年のように出費がかさむ一方で、中堅どころとして給与水準はそれなり。他世代の賃上げの負の影響があったとしても、それで転職を考えるのは得策ではない。
――結局、いつも泣き寝入りするしかない……そういう星のもとに生まれたんですよ、我々は
若手の給与アップの影で、怒ったり、泣いたりしている氷河期世代は多そうです。
[参考資料]