生活圏にイノシシ増加で連絡体制強化 登下校の安全確保図る 群馬・渋川市

 イノシシなどの野生動物が市民の生活圏で相次いで目撃されているとして、群馬県渋川市は3日、児童らの登下校時の安全確保のため庁内の連絡体制を強化したと発表した。市教育委員会の連絡系統を活用し、保護者に迅速に情報を伝える。伝達の遅れが人身被害につながらないよう運用を改めた。

 市によると、イノシシの目撃は昨年度までの3年は年間11、12件で推移していた。本年度は3日時点で既に11件に達している。特に最近は午前6、7時台にJR渋川駅の近くや住宅が多く立ち並ぶ市街地で連続して目撃されている。

 野生動物の目撃や注意喚起の情報は、市のメールやLINE(ライン)で広く伝えている。小中学校に関係する場所で目撃された場合、これまで環境森林課から直接、各学校に連絡を入れていた。

 ただ、早朝のため学校側と連絡が取れない例があったことから、連絡体制に市教委を追加。市教委と学校、保護者が一体となった連絡系統を使うことで、時間帯を問わず素早く一報を伝えられるようにする。

 先月末には安中市内で民家に入ったクマに高齢夫婦が襲われる被害も起きたため、市は野生動物による人身被害の防止策として連絡体制を見直した。

 人身被害を防ぐために市は、①野生動物の目撃情報の頻発時は外出を避ける②遭遇時は刺激せず、落ち着いて安全な場所に移る③自宅や畑に餌となる生ごみや農作物を放置しない―などの対策を呼びかけている。

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